今週の為替市場は、米CPIショック中東情勢の急変に揺さぶられる波乱の展開となりました。週半ばに米5月CPIが約3年ぶりの高い伸びを示して米株が急落する一方、週末にかけてはトランプ大統領のイラン攻撃中止表明で原油が急落し、米株は急反発。USD/JPYは乱高下しながらも160円台でほぼ横ばいの週越えとなりました。来週はいよいよ日銀(1%への利上げ観測)ウォーシュ体制初のFOMC、英・豪の中銀会合が集中します。

1. 先週の金融市場まとめ(6/8~6/12)

■ 主要銘柄の週間騰落

銘柄 金曜終値 週間騰落率 週間レンジ(H/L)
USD/JPY 160.204 +0.01% 160.524 / 159.955
EUR/USD 1.1571 +0.39% 1.1577 / 1.1536
EUR/JPY 185.381 +0.40% 185.381 / 184.750
GBP/JPY 214.852 +0.55% 214.852 / 213.640
AUD/JPY 112.951 +0.07% 112.951 / 112.301
GBP/USD 1.3411 +0.54% 1.3418 / 1.3341
日経平均 66,020.04 -0.85% 66,020.04 / 64,024.60
NYダウ 51,202.30 +0.66% 51,202.30 / 49,918.80
S&P500 7,431.50 +0.65% 7,431.50 / 7,267.00
ゴールド(NY金) 4,238.8 -2.90% 4,363.40 / 4,114.00
WTI原油 84.88 -6.25% 91.30 / 84.88

※週間騰落率は先週金曜NY引けに対する金曜NY引けの変化率。週間レンジは月~金の終値ベースの高安。FX・株価指数・コモディティはYahoo!ファイナンスJP(確定終値)より取得。

■ 主要ニュース

  • 米5月CPI、前年比+4.2%(6/10):4月の+3.8%から加速し約3年ぶりの高い伸び。エネルギーが月間上昇分の6割超を占め、コアは+2.9%。インフレ再加速観測で米株が急落、NYダウは節目の5万ドルを一時割り込んだ。
  • トランプ大統領、イラン攻撃中止を表明(6/11):同日夜に予定していた攻撃の見送りを発表(イラン最高指導部が協議内容を承認)。中東緊迫が一転緩和し、WTI原油は週末にかけ急落、米株は急反発した。
  • ECB、2年9カ月ぶり利上げ(6/11):中銀預金金利を0.25%引き上げ2.25%に(全会一致)。5月のユーロ圏インフレ加速に対応。ラガルド総裁は「代替案は議論しなかった」と述べ、年内の追加利上げ観測も浮上した。
  • 米5月PPI、前年比+6.5%(6/11):2022年11月以来の伸びで予想(+6.4%)を上回る。前月比+1.1%とエネルギー主導。一方でコアは前年比+4.9%と予想を下回り、インフレの中身はエネルギーに偏った。
  • 米5月雇用統計NFP+17.2万人(先週末6/5発表分の余波):予想の約2倍。FRBの利下げ観測後退でドルが全面高となり、週初はUSD/JPYが約1カ月ぶりに160円台を回復した。
  • カナダ銀行、5会合連続据え置き(6/10):政策金利を2.25%に据え置き。マックレム総裁は「次の一手は利上げ・利下げの両方向があり得る」と述べた。
  • NY金が年初来安値(週間):米利上げ観測と実質金利上昇を背景に下落し、6/11には一時4,046ドルと年初来安値を更新。週間では約-2.9%。
  • 6月メジャーSQ(6/12):東京市場で算出。前日の米株大幅反発を受けて日経平均は6万6000円台を回復して週を終えた。

■ 主要指標の結果

発表日 指標 前回 予想 結果
6/10(水) 米国 5月CPI(前年比) +3.8% +4.2% +4.2%
6/10(水) カナダ 政策金利 2.25% 2.25% 2.25%
6/11(木) ECB 政策金利(中銀預金金利) 2.00% 2.25% 2.25%
6/11(木) 米国 5月PPI(前年比) +6.0% +6.4% +6.5%
6/8(月) 日本 1-3月期GDP改定値(年率) +2.1% +1.4% +1.8%

■ 週間騰落率TOP5

順位 通貨ペア 週間騰落率 金曜終値
1位 NZD/JPY +0.63% 93.447
2位 NZD/USD +0.62% 0.5833
3位 GBP/JPY +0.55% 214.852
4位 GBP/USD +0.54% 1.3411
5位 EUR/JPY +0.40% 185.381

週間騰落率(絶対値)のTOP5はNZD/JPY・NZD/USD・GBP/JPY・GBP/USD・EUR/JPYと、いずれも対ドルでの上昇組が並びました。週末にかけての有事のドル買い巻き戻しで、ポンドとオセアニア通貨が買い戻された一週間でした。

■ 週間強弱ランキング

1位 ++NZD   +0.63%
2位 ++GBP   +0.41%
3位 +EUR    +0.21%
4位 +AUD    +0.07%
5位 -CHF    -0.10%
6位 -USD    -0.17%
7位 -JPY    -0.18%
8位 --CAD   -0.28%

週間ベースの通貨強弱は、NZドルとポンドが上位、最下位はカナダドルとなりました。原油急落がカナダドルの重しとなった一方、ドルと円はともに小幅マイナスで中位に並び、週を通してみればドル円が160円台でほぼ横ばいだったことと整合的な並びです。

2. 今週の金融市場(6/15~6/19)

■ 経済指標カレンダー(JST・重要度★3優先)

日付 時刻 指標・イベント 重要度 前回 予想
6/16(火) 未定 豪州 豪中銀(RBA)政策金利 ★★ 4.35% 4.35%
6/16(火) 11:00 中国 5月小売売上高(前年比) ★★
6/16(火) 21:30 米国 5月小売売上高(前月比) ★★
6/16(火) 21:30 米国 5月住宅着工件数 ★★
6/16(火) 未定 日本 日銀金融政策決定会合・結果(1%への利上げ観測) ★★★ 0.75% 1.00%
6/17(水) 15:00 英国 5月CPI(前年比) ★★ +2.8%
6/18(木) 27:00 米国 FOMC政策金利(ウォーシュ体制初) ★★★ 3.75%
6/18(木) 20:00 英国 英中銀(BOE)政策金利 ★★★ 3.75%
6/19(金) 15:00 英国 5月小売売上高(前月比) ★★
6/19(金) 21:30 カナダ 4月小売売上高(前月比) ★★

■ 今週のテーマ

  • 日銀会合(6/16結果):政策金利を0.75%から1.00%へ引き上げるとの観測が報じられている。実現すれば利上げ局面入りが鮮明となり、円相場の反応が最大の焦点。なお植田総裁が体調不良で会合を欠席するとの報道もあり、運営面にも注目。
  • ウォーシュ体制初のFOMC(6/18未明):新体制下で初の会合。前週のCPI・PPI加速を受け、利下げ観測の後退度合いとドット・チャート、記者会見のトーンが注目される。
  • 英・豪の中銀会合:英中銀(BOE、6/18)と豪中銀(RBA、6/16)が政策金利を発表。日米と合わせ、主要中銀の判断が一週間に集中する。
  • 中東情勢と原油:攻撃中止表明で原油は急落したが、イランとの協議はこれからが本番。エネルギー価格の振れが各国インフレと為替に波及する点に引き続き留意。

3. ドル円とユーロドルの現在位置

■ドル円 日足分析

※日足チャートにボリンジャーバンド(21)の±2σと200SMA、RCI(9,26,52)を表示

俯瞰気味で。急落しても以前に引いた水平線の高値で反発。とにかく上に行きたがっている感じです。気合いすごい。

■ユーロドル 日足分析

※日足チャートにボリンジャーバンド(21)の±2σと200SMA、RCI(9,26,52)を表示

俯瞰すると、レンジなのが分かります。値幅を取るトレードに向かない感じ。

4. 気になる通貨ペア:USDCAD

こちらはドル円より強い感じ。先週止められていた水平線を上に抜けました。

5. 世界の金利動向

■ 先進国の政策金利(6/14時点・出典:外為どっとコム)

国・地域 政策金利 5月の動き 次回会合
日本 0.75% 据え置き 6/16(1%へ利上げ観測)
米国 3.75% 据え置き 6/17-18 FOMC
ユーロ圏 2.40% +0.25%(6/11利上げ) 7月
英国 3.75% 据え置き 6/18
カナダ 2.25% 据え置き(6/10) 7月
豪州 4.35% 据え置き 6/16
ニュージーランド 2.25% 据え置き 7月
スイス 0.00% 据え置き
ノルウェー 4.25% 据え置き
スウェーデン 1.75% 据え置き

■ 新興国の政策金利

国・地域 政策金利 5月の動き 次回会合
中国 3.00% 据え置き
南アフリカ 7.00% 据え置き
メキシコ 6.50% 据え置き
トルコ 37.00% 据え置き
ロシア 14.50% 据え置き
ハンガリー 6.25% 据え置き

ユーロ圏が6/11に2年9カ月ぶりの利上げ(中銀預金金利2.25%・主要リファイナンス金利は2.40%)に踏み切り、利下げ局面からの転換が鮮明になりました。来週は日本(1%への利上げ観測)、米国、英国、豪州の中銀会合が集中し、主要国の金利見通しが大きく動く可能性があります。

6. FX業界ニュース

国内FX業者(金融庁登録の業者のみ)の今週の新着情報です。

  • SBI FXトレード:ビットコイン/円(BTC/JPY)の標準スプレッドを期間限定で5,000円に縮小する緊急企画を実施(6/5~6/19、業界最狭水準をうたう内容)。
    ポンド/円・豪ドル/円の取引数量に応じたキャッシュバックや、南アフリカランド/円・トルコリラ/円のスワップポイント20%増額(メキシコペソ/円は10%)など6月の新キャンペーンを多数展開(多くは8/1まで)。新興国通貨は相場急変動リスクに留意。
  • ヒロセ通商(LION FX):6月の月替わりキャンペーンを一新。ポンド/円対象の「あじさい最大100万円キャッシュバックキャンペーン」、取引量に応じて国産うなぎの蒲焼などがもらえる食品企画、主要5通貨ペア対象の「のりかえキャンペーン」などを6/30(一部7/1)まで実施。
    CFD口座の開設と新規取引1回で3,000円のキャッシュバック企画も開始。

7. シカウチから一言

ドル円はまだまだ上に向かいそうですね。下がるニュースでの下げ幅は少しだし、なにもニュースがなければジリ上げしていく。完全に162円台とか入っちゃった方が、押し目買いはしやすそうです。


本配信はシカウチ(雑誌『外国為替』編集長)が個人として行っています。情報提供のみが目的であり、投資助言・売買推奨ではありません。最終的な投資判断はご自身の責任で行ってください。本配信では金融庁登録の国内業者の情報のみを扱います。
配信元:シカウチ(雑誌『外国為替』編集長・個人)

ABOUT ME
シカウチ
FX雑誌「外国為替」の編集長。FX攻略.comの副編集長として11年間、取材・執筆・編集に携わったのちに独立。トレーダーとして、自動売買中心にFXの運用を行う。
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