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先週は中央銀行の会合が5つ並び、最後にAI関連株が崩れました。日銀は政策金利を1.25%で据え置きながら、展望レポートで基調的な物価が2%の目標とおおむね整合的だと初めて認めています。そのうえで金曜の米国市場ではインテルが28.6%下落してナスダック総合が2.86%安となり、逃げ場になるはずの金まで売られてNY金は52週安値まで落ちました。週間の強弱はポンドが首位、据え置きで裏切られたNZドルが最下位です。今週は3日の豪準備銀行と5日のイングランド銀行がどちらも利上げ予想で、金曜には米雇用統計が控えます。

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1. 先週の金融市場まとめ(10/26~10/30)

■ 主要銘柄の週間騰落

銘柄 金曜終値 週間騰落率 週間レンジ(H/L)
USD/JPY 157.560 +0.44% 157.950 / 157.500
EUR/USD 1.1160 -0.37% 1.1180 / 1.1125
EUR/JPY 175.780 +0.03% 176.300 / 175.720
GBP/JPY 211.000 +0.59% 211.000 / 210.150
AUD/JPY 110.800 +0.40% 111.313 / 110.520
GBP/USD 1.3392 +0.17% 1.3392 / 1.3302
日経平均 63,290.11 +0.95% 64,659.47 / 62,189.65
NYダウ 51,770.31 -0.85% 52,475.10 / 51,770.31
S&P500 7,580.07 -0.57% 7,743.98 / 7,580.07
ゴールド(NY金) 3,898.90 -2.72% 4,074.60 / 3,898.90
WTI原油 104.12 +0.82% 104.12 / 99.90

※週間騰落率は先週金曜NY引けに対する金曜NY引けの変化率。週間レンジは月~金の終値ベースの高安。為替はみんかぶの公表四本値とYahoo!ファイナンス、株価指数はYahoo!ファイナンス、NY金とWTI原油は報道の確定値です。

■ 主要ニュース

  • 日銀は据え置き、それでも展望レポートで初めて「2%到達」を認めた(10/30):政策金利は1.25%で据え置きでしたが、票は賛成8・反対1で、高田委員が1.5%への引き上げを主張して反対しています。同時に出た「経済・物価情勢の展望」では、基調的な物価上昇率が2%の物価安定の目標とおおむね整合的な水準にあると記されました。この書き方を使ったのは初めてで、2026~2027年度にかけて到達するという従来の言い方から一歩進んでいます。2027年度のコア消費者物価の見通しは7月の+2.4%から+2.6%へ引き上げ、保有する上場投資信託(ETF)の売却ペースも年3,300億円程度から年8,600億円程度(簿価ベース)へ速めました。15時30分の記者会見で植田総裁は、12月を含めて毎回の会合で判断すると述べ、12月の利上げには踏み込みませんでした。発表直後にドル円は157円11銭まで下げ、その後157円50銭前後へ戻しています。
  • FOMCは据え置き、ただし2人が利上げに反対票を投じた(10/28):FF金利の誘導目標は3.75-4.00%で据え置きでしたが、ハマック・クリーブランド連銀総裁とクックFRB理事の2人が0.25%の引き上げを主張しました。ウォーシュ議長は会見で物価上昇率は依然として高すぎると述べたうえで、金融環境は引き締まりつつあるが引き締まっているとまでは言えないとも話しています。12月の利上げをはっきり示す言葉は出なかったので、ドルはいったん売られました。それでも12月9日の会合までに利上げがあるとの織り込みは8割前後で、会見の前後でほとんど動いていません。ドル円は158円35銭まで上げたあと157円84銭へ押し戻され、3日続いた上げが止まりました。
  • カナダ銀行が3年3カ月ぶりに利上げ、カナダドルは週間2位(10/28):政策金利を2.25%から2.50%へ0.25%引き上げました。据え置き予想に逆らった動きで、利上げは2023年7月以来です。原油高と製油マージンの上昇で消費者物価の伸びが4月以降3%前後に張り付いており、年末には3.5%まで上がるとの見通しも示しています。カナダドルはこの日対円で34銭上げ、週間では+0.58%の112円72銭、8通貨の強弱でも2位に入りました。ただし30日に出た8月の月次国内総生産(GDP)は前月比0.0%で予想の+0.2%に届かず、景気よりも物価のほうを重く見た判断でした。
  • RBNZは市場の読みを外して据え置き、NZドルが8通貨最下位(10/28):ニュージーランド準備銀行は政策金利を2.75%で据え置きました。市場は3.00%への引き上げを見込んでいたので、はしごを外されたNZドルが売られています。対円では28日に1.08%下げて88円75銭まで落ち、週間では-0.55%、対ドルでは-0.98%の0.5633ドルと週間騰落率で14ペア中いちばん大きく動きました。強弱でも–NZD -0.77%で最下位です。今週4日6時45分には7-9月期の失業率(予想5.5%、前回5.6%)が出るので、12月9日の次回会合に向けた見方はここから組み直されます。
  • ECBは据え置き、ラガルド総裁が任期を9カ月残した退任を自ら表明(10/29):欧州中央銀行は預金ファシリティ金利を2.50%で据え置きました(経済指標カレンダーが載せている2.65%は主要リファイナンスオペ金利で、本連載が使う2.50%とは別の金利です)。発表直後にユーロドルは1.1104ドル=1年5カ月ぶりの安値まで売られ、会見で1.1180ドルへ買い戻されました。その会見でラガルド総裁は、2027年2月7日に任期を9カ月残して退任すると述べています。フランス大統領選の前に後任を決める狙いだと報じられました。次回は12月17日で、総裁交代をはさんで政策がどうつながるのかという論点が加わりました。
  • 米7-9月期GDPは年率3.4%、コアPCEは3.1%へ加速した(10/29):実質GDP速報値は前期比年率3.4%(予想3.2%、前回2.2%)で、個人消費も3.8%と強いままでした。同じ21時30分に出た9月のコアPCEデフレーターは前年同月比3.1%(8月は3.0%)、前月比0.3%です。FRBが物価の判断で重く見るのはCPIよりPCEなので、FOMCの翌日にこの組み合わせが出た順番は効きました。新規失業保険申請件数も19.4万件と低く、景気と物価の両方が利上げ寄りの材料です。それでもドルが伸びなかったのは、同じ日に始まった株安のほうが強かったからです。
  • 金曜にAI関連株が崩れ、インテルは28.6%安(10/30):ナスダック総合指数は747.73ポイント安の25,437.00で、下落率2.86%は6月5日以来の大きさです。ダウは572.25ドル安の51,770.31、S&P500は140.32ポイント安の7,580.07でした。きっかけはインテルの10-12月期見通しが市場の見込みに届かなかったことで、同社株は28.6%下落しています。AMDが10.9%安、デル・テクノロジーズが10.8%安、エヌビディアが4.2%安で、フィラデルフィア半導体株指数は7.2%下げました。前日のアルファベットとアマゾンの決算から続く流れで、AI向け設備投資の採算が改めて疑われています。VIXは一時23.93まで跳ね、終値は19.42。エクソンモービル(+2.2%)やシェブロン(+2.8%)には資金が入りました。東京市場も同じ日に1,369円36銭安の6万3,290円11銭と4日ぶりに大きく下げましたが、週の前半で積み上げた上げが大きかったので、日経平均の週間騰落は+0.95%のプラスです。
  • NY金が52週安値、株安で現金をつくるための売りが波及した(10/30):NY金12月限は132ドル50セント安の3,898ドル90セントまで下げ、一時は52週安値の3,879ドル42セントを付けました。週間では2.72%安です。米10年債利回りは4.93%へ下がっており、金利が下がったのに金も売られたことになります。AI関連株の下げで膨らんだ損失を埋めるために換金の売りが出たので、安全資産という普段の役回りが働きませんでした。10月の高値(4,074ドル60セント)からは4.3%下げています。
  • WTIは104ドル台、フーシ派のサウジ攻撃で供給不安が戻った(10/30):WTI原油12月限は2ドル12セント高の104ドル12セントで、9月以来の高値を更新しました。イエメンの親イラン武装組織フーシ派がサウジアラビアのラスタヌラ製油所などを攻撃したことと、バンス副大統領がイランに送った書簡は交渉ではなく医療物資の話だったと明らかになったことが重なっています。週の前半は外交による解決への期待で99ドル90セントまで下げていたので、週間では+0.82%にとどまりました。原油高が続けば物価の見通しも上振れるので、カナダ銀行が利上げに踏み切った理由とも地続きの話です。
  • ポンドが週間首位、ドイツの物価鈍化でユーロは下位(10/26~10/30):ポンドは++GBP +0.43%で8通貨の首位でした。28日の英秋季予算案が波乱なく受け止められた流れが続き、ポンドドルは1.3300ドルから1.3392ドルへ、ポンド円は+0.59%の211円00銭です。今週5日のイングランド銀行は3.75%から4.00%への引き上げ予想で、買われる理由がはっきりしています。一方のユーロは–EUR -0.29%で6位です。30日のドイツ10月消費者物価指数(速報値)が前年同月比2.8%(予想3.0%、前回3.3%)へ鈍り、前月比は-0.2%のマイナスでした。同じ日のユーロ圏7-9月期GDPは前期比+0.4%と予想を上回りましたが、物価のほうが重く見られています。

■ 主要指標の結果

発表日 指標 前回 予想 結果
10/26(月) ドイツ10月IFO企業景況感指数 89.9 89.9 90.2
10/27(火) 米国9月耐久財受注(前月比) -0.1% 1.9% 1.8%
10/27(火) 米国8月ケース・シラー住宅価格指数(前年同月比) 2.5% 2.6% 2.7%
10/27(火) 米国9月新築住宅販売件数(年率換算) 68.4万件 65.0万件 67.6万件
10/27(火) 米国10月消費者信頼感指数(コンファレンス・ボード) 81.9 81.0 91.7
10/28(水) 豪州9月消費者物価指数(CPI、前年同月比) 4.0% 4.2% 4.3%
10/28(水) 豪州7-9月期四半期消費者物価(CPI、前期比) 0.6% 1.2% 1.3%
10/28(水) ニュージーランド準備銀行(RBNZ)政策金利 2.75% 3.00% 2.75%
10/28(水) カナダ銀行(BOC)政策金利 2.25% 2.25% 2.50%
10/28(水) 米連邦公開市場委員会(FOMC)政策金利 3.75-4.00% 3.75-4.00% 3.75-4.00%
10/29(木) ユーロ圏10月経済信頼感 97.9 97.5 96.9
10/29(木) 米国7-9月期四半期実質国内総生産(GDP、速報値、前期比年率) 2.2% 3.2% 3.4%
10/29(木) 米国9月個人消費支出(PCEコア・デフレーター、前年同月比) 3.0% 3.1% 3.1%
10/29(木) 米国9月個人消費支出(PCE、前月比) 0.9% 0.6% 0.5%
10/29(木) 米国前週分新規失業保険申請件数 19.4万件 19.8万件 19.4万件
10/29(木) 欧州中央銀行(ECB)政策金利(主要リファイナンスオペ) 2.65% 2.65% 2.65%
10/30(金) 日銀金融政策決定会合、終了後政策金利発表 1.25% 1.25% 1.25%
10/30(金) 日本10月東京都区部消費者物価指数(CPI、生鮮食料品除く、前年同月比) 2.7% 2.6% 2.6%
10/30(金) 日本9月失業率 2.5% 2.5% 2.4%
10/30(金) 日本9月鉱工業生産・速報値(前月比) -2.4% 1.2% 2.2%
10/30(金) フランス7-9月期国内総生産(GDP、速報値、前期比) 0.0% 0.1% -0.1%
10/30(金) ドイツ7-9月期国内総生産(GDP、速報値、前期比) 0.3% 0.1% 0.2%
10/30(金) ユーロ圏7-9月期四半期域内総生産(GDP、速報値、前期比) 0.6% 0.2% 0.4%
10/30(金) ユーロ圏9月失業率 6.4% 6.4% 6.5%
10/30(金) ドイツ10月消費者物価指数(CPI、速報値、前年同月比) 3.3% 3.0% 2.8%
10/30(金) カナダ8月月次国内総生産(GDP、前月比) 0.0% 0.2% 0.0%
10/30(金) 米国7-9月期四半期雇用コスト指数(前期比) 0.9% 0.8% 0.8%
10/30(金) 米国10月シカゴ購買部協会景気指数 58.8 56.1 55.3

■ 週間の通貨強弱&騰落率TOP5

週間の通貨強弱&騰落率TOP5
1位 ++GBP   +0.43%
2位 ++CAD   +0.37%
3位 ++USD   +0.27%
4位 +CHF    +0.20%
5位 +AUD    +0.14%
6位 --EUR   -0.29%
7位 --JPY   -0.31%
8位 --NZD   -0.77%

首位は++GBP +0.43%でした。英秋季予算案が波乱なく通り、今週5日のイングランド銀行が4.00%へ利上げするとの見方が固まったので買われています。2位の++CAD(+0.37%)は28日の利上げが効いたぶんで、上位2つはどちらも利上げ絡みです。3位の++USD(+0.27%)はFOMCで12月への言及が乏しかったにもかかわらず、7-9月期GDPが年率3.4%と強かったことで支えられました。1位のポンドと8位のNZドルの差は1.20ポイントで、前週の1.60ポイントから縮んでいます。最下位の–NZD(-0.77%)は利上げ予想を外された売りがそのまま残り、7位の–JPY(-0.31%)は金曜に円が買われても週前半の円安を取り戻せませんでした。6位の–EUR(-0.29%)はドイツの物価が2.8%へ鈍ったぶんが重しになっています。

順位 通貨ペア 週間騰落率 金曜終値
1位 NZD/USD -0.98% 0.5633
2位 CHF/JPY +0.66% 191.000
3位 GBP/JPY +0.59% 211.000
4位 CAD/JPY +0.58% 112.720
5位 NZD/JPY -0.55% 88.750

TOP5のうち4本が円クロスで、動いた幅はどれも1ポイント以内でした。1位のNZドル米ドル(-0.98%)だけが突き抜けていて、RBNZの据え置きに対する売りがそのまま残っています。2位のスイスフラン円(+0.66%)から4位のカナダドル円(+0.58%)までは円が売られた側で、5位のNZドル円(-0.55%)だけが逆を向きました。同じNZドルが1位と5位に入っているので、先週いちばん大きく動いた通貨はNZドルだと言えます。ドル円は+0.44%でTOP5に入らず、ドルが主役だった前の週とは並びが変わりました。

■ 平均値幅(1日あたり)

平均値幅(1日あたり)
  • 市場全体:主要6ペアの今週の平均値幅は、今月平均の0.91倍(6本中1本が今月平均超え)
  • ドル円:今週74銭/今月79銭/半年95銭(今週は今月平均の0.93倍)
  • ユーロドル:今週65pips/今月66pips/半年56pips(今週は今月平均の0.98倍)
  • ユーロ円:今週98銭/今月110銭/半年108銭(今週は今月平均の0.89倍)
  • ポンド円:今週97銭/今月122銭/半年135銭(今週は今月平均の0.79倍)

※値幅は1日の高値と安値の差(前日終値を含む真の値幅)。今週=直近5営業日、今月=直近20営業日、半年=直近130営業日の1日あたり平均です。

2. 今週の金融市場(11/2~11/6)

■ 経済指標カレンダー(JST・重要度★3優先)

日付 時刻 国 指標・イベント 重要度 前回 予想
11/2(月) 10:45 中国 10月製造業購買担当者景気指数(PMI、RatingDog) ★★ 52.1 52.0
11/2(月) 18:00 ユーロ圏 10月製造業購買担当者景気指数(PMI、改定値) ★★ 52.4 52.4
11/2(月) 24:00 米国 10月ISM製造業景況指数 ★★★ 54.5 54.6
11/3(火) 12:30 豪州 豪準備銀行(RBA)政策金利 ★★★ 4.60% 4.85%
11/3(火) 16:00 トルコ 10月消費者物価指数(CPI、前年同月比) ★★ 29.73% 29.50%
11/3(火) 24:00 米国 9月雇用動態調査(JOLTS)求人件数 ★★ 707.9万件 710.0万件
11/4(水) 06:45 ニュージーランド 7-9月期四半期失業率 ★★ 5.6% 5.5%
11/4(水) 17:30 スウェーデン スウェーデン中銀(リクスバンク)政策金利 ★★ 1.75% 2.00%
11/4(水) 19:00 ユーロ圏 10月消費者物価指数(HICP、速報値、前年同月比) ★★★ 3.8% 3.9%
11/4(水) 22:15 米国 10月ADP雇用統計(前月比) ★★★ 9.0万人 7.0万人
11/4(水) 24:00 米国 10月ISM非製造業景況指数(総合) ★★★ 54.9 54.7
11/4(水) 30:30 ブラジル ブラジル中央銀行政策金利 ★★★ 13.75% 13.75%
11/5(木) 08:50 日本 日銀・金融政策決定会合議事要旨 ★★★ - -
11/5(木) 18:00 ノルウェー ノルゲバンク(ノルウェー中銀)政策金利 ★★ 4.50% 4.50%
11/5(木) 21:00 英国 イングランド銀行(BOE)政策金利/金融政策委員会議事要旨 ★★★ 3.75% 4.00%
11/5(木) 22:30 チェコ チェコ中銀政策金利 ★★ 3.75% 4.00%
11/5(木) 28:00 メキシコ メキシコ中銀(Banxico)政策金利 ★★ 6.50% 6.50%
11/6(金) 22:30 米国 10月非農業部門雇用者数変化(前月比) ★★★ 2.9万人 6.0万人
11/6(金) 22:30 米国 10月失業率 ★★★ 4.2% 4.2%
11/6(金) 22:30 米国 10月平均時給(前年同月比) ★★★ 3.0% 2.9%
11/6(金) 22:30 カナダ 10月新規雇用者数 ★★★ -6.83万人 1.80万人
11/6(金) 24:00 米国 11月ミシガン大学消費者態度指数・速報値 ★★ 48.0 47.6

■ 今週のテーマ

  • 3日の豪準備銀行と5日のイングランド銀行、どちらも利上げ予想:今週の軸は2つの会合です。3日12時30分の豪準備銀行(RBA)は4.60%から4.85%への引き上げ予想で、28日の7-9月期消費者物価が前期比1.3%(予想1.2%)と上振れたことが後ろ盾になっています。5日21時のイングランド銀行(BOE、英中央銀行)も3.75%から4.00%への引き上げ予想で、前回の会合では3人が利上げを主張していました。先週の強弱でポンドが首位、豪ドルが5位だったのはどちらもこの見方を織り込んだ動きなので、予想通りに上げても素直に買われるとは限りません。声明と票の割れ方のほうが効きやすい場面です。
  • 6日の米10月雇用統計、予想は6.0万人:22時30分に非農業部門雇用者数(予想6.0万人、前回2.9万人)、失業率(予想4.2%で前回と同じ)、平均時給(前年同月比の予想2.9%、前回3.0%)が同時に出ます。4日22時15分のADP雇用統計(予想7.0万人、前回9.0万人)が前哨戦です。先週のGDPが年率3.4%、コアPCEが3.1%と景気も物価も利上げ寄りに出たので、雇用がここで崩れなければ12月9日のFOMCでの利上げはさらに固まります。なお米国は1日に夏時間が終わるため、発表は先週までより1時間遅い日本時間22時30分です。
  • AI関連株の下げがどこで止まるか:金曜のナスダック総合は2.86%安で、インテルが28.6%、AMDが10.9%下げました。逃げ場になるはずの金まで売られて52週安値を付けたので、換金の売りがまだ残っている可能性があります。株安が続けば円が買われやすく、先週7位だった円の位置も変わります。2日24時の米10月ISM製造業景況指数(予想54.6)と4日24時のISM非製造業(予想54.7)は、設備投資の勢いを実体経済の側から確かめる材料です。VIXが一時23.93まで跳ねた水準から下がるかどうかも見ておきたいところです。
  • 4日のユーロ圏物価と、新興国の会合ラッシュ:4日19時のユーロ圏10月消費者物価指数(HICP、速報値)は前年同月比3.9%への加速予想です。ただし30日に出たドイツの10月分は2.8%へ鈍っているので、予想が下振れる方向にずれる余地があります。新興国と小国の会合は今週にかたまっていて、4日にスウェーデン中銀(1.75%から2.00%への引き上げ予想)、ポーランド国立銀行、ブラジル中央銀行、5日にノルウェー中銀、チェコ中銀(3.75%から4.00%への引き上げ予想)、メキシコ銀行と続きます。物価が高止まりしている国で利上げ予想が並ぶ構えです。

3. ドル円とユーロドルの現在位置

■ドル円 日足分析

※日足チャートにボリンジャーバンド(21)の±2σと200SMAを表示

ドル円は低調で、ダイナミックさがまったくない状態。ドルと円はどちらも市場の注目が高いので必ず見守りますが、それとドル円をトレードするかかどうかはまた別の話です。

狭まりまくっているボリンジャーバンドの幅を見ても、上にも下にもいかない、いけないのが分かります。

■ユーロドル 日足分析

※日足チャートにボリンジャーバンド(21)の±2σと200SMAを表示

ドル円と比べると、明らかに下降トレンドが発生しています。ただ、最近はちょっと停滞気味で、これはドルがそれなりに強いから。

ユーロドル売りはアリだと思いますが、次に紹介する通貨ペアの方がさらに売りやすい形状です。

4. 気になる通貨ペア:EURAUD

強い下げの中で一時的に上昇するも、もともと引いていた(もともと引いていたことが大切)水平線(水色)に上昇を阻まれ、長い上ヒゲを伸ばした続落という、好きな形です。

少なくともこの週末の時点では、売り狙い続行だろ?っていう形状です

5. 世界の金利動向

■ 先進国の政策金利(11/1時点・出典:外為どっとコム)

国・地域 政策金利 直近の動き 次回会合
日本(日銀) 1.25% 2026年9月 +0.25% 12月18日
米国(FRB、Federal Reserve Board) 3.75-4.00% 2026年9月 +0.25% 12月9日
ユーロ圏(ECB、European Central Bank) 2.50%(預金ファシリティ) 2026年9月 +0.25% 12月17日
英国(BOE、Bank of England) 3.75% 2025年12月 -0.25% 11月5日(今週木曜)
カナダ(BOC、Bank of Canada) 2.50% 2026年10月 +0.25% 12月9日
豪州(RBA、Reserve Bank of Australia) 4.60% 2026年9月 +0.25% 11月3日(今週火曜)
ニュージーランド(RBNZ) 2.75% 2026年9月 +0.25% 12月9日
スイス(SNB、Swiss National Bank) 0.00% 2025年6月 -0.25% 12月10日
ノルウェー(Norges Bank) 4.50% 2026年9月 +0.25% 11月5日(今週木曜)
スウェーデン(リクスバンク) 1.75% 2025年9月 -0.25% 11月4日(今週水曜)

■ 新興国の政策金利

国・地域 政策金利 直近の動き 次回会合
香港 4.25% 2026年9月 +0.25% 12月10日
中国(最優遇貸出金利・1年) 3.00% 2025年5月 -0.10% 11月20日
ブラジル(BCB) 13.75% 2026年6月 +0.25% 11月4日(今週水曜)
南アフリカ(SARB) 7.25% 2026年9月 +0.25% 11月19日
トルコ(TCMB) 36.00% 2026年10月 -1.00% 12月10日
メキシコ(Banxico) 6.50% 2026年5月 -0.25% 11月5日(今週木曜)
ロシア(CBR) 14.00% 2026年7月 -0.25% 12月18日
ハンガリー(MNB) 5.50% 2026年8月 -0.25% 11月17日
チェコ(CNB) 3.75% 2026年6月 +0.25% 11月5日(今週木曜)
ポーランド(NBP) 3.75% 2026年3月 -0.25% 11月4日(今週水曜)

先週動いたのはカナダ銀行だけで、2.25%から2.50%へ0.25%引き上げました。3年3カ月ぶりの利上げです。米国・ユーロ圏・日本・ニュージーランドはいずれも据え置きでしたが、FOMCで2人、日銀で1人が利上げを主張して反対票を投じています。日銀は展望レポートで基調的な物価が2%の目標とおおむね整合的だと初めて認めたので、次の一手の説明が変わりました。今週は3日に豪州、4日にスウェーデンとポーランドとブラジル、5日に英国とノルウェーとチェコとメキシコと8つの会合が続きます。そのうち豪州・英国・スウェーデン・チェコの4つで利上げ予想が立っており、据え置きが並んだ先週とは様子が変わります。

主要15通貨の金利見通しマップ

主要15通貨の金利見通しマップ

15通貨のうち利上げ局面にあるのは豪州・カナダ・南アフリカ・ノルウェーの4行で、先週の6行から2行減りました。会合が5つ並んだので、区分は4つ動いています。据え置きを選んだ米国・ユーロ圏・日本を利上げ局面からタカ派寄りの据え置きへ移し、28日に利上げしたカナダは逆に、タカ派寄りの据え置きから利上げ局面へ入れました。日銀は1.25%で据え置きながら展望レポートで2%到達を認めたので、次の一手は利上げ寄りのままです。マイナー通貨の会合は今週にかたまっています。4日にスウェーデン中銀とポーランド国立銀行、5日にノルウェー中銀とメキシコ銀行が続き、利下げ局面に移したトルコ中銀は12月10日、据え置きを16か月続けるハンガリー国立銀行は11月17日です。

6. FX業界ニュース

国内FX業者(金融庁登録の業者のみ)の今週の新着情報です。

  • GMOクリック証券:10月23日、自動売買ツールによるものと考えられる不正取引について注意喚起を出しました(関東財務局長(金商)第77号)。自社口座では現時点で不正な取引は確認されていないとしたうえで、取引履歴と建玉の確認、ログイン通知と約定通知の設定、パスキー認証の登録を呼びかけています。
    発端はグループのGMOインターネットが提供するレンタルサーバー「お名前.com デスクトップクラウド」への不正アクセスです。このサーバー上で自動売買ツールを動かしていた利用者のログイン情報が第三者に渡り、身に覚えのない取引が行われたとの報告が各社に寄せられました。GMOインターネットは10月21日午前4時に全プランのサーバーを停止し、24日には見舞金と確認された不正取引の損失を補償する方針も示しています。
    同社は11月28日(土)からログイン方法をパスキー認証のみに変える予定です。パスキーは、スマートフォンやパソコン本体のロック解除機能(Face ID、指紋認証、Windows Helloなど)をそのままログインに使う仕組みで、文字列を打ち込む工程がなくなるぶんフィッシングで盗まれる余地が消えます。未設定でもIDとパスワードでのログインは続けられますが、設定を終えるまで取引や出金に規制がかかります。期限まであと1カ月なので、複数の端末を使っているなら同期の設定まで済ませておきたいところです。
    ▼GMOクリック証券(公式)自動売買ツールによるものと考えられる不正取引に関する注意喚起とお願い
  • FXTF:10月23日から、MT4とMT5のログイン時にワンタイムパスワード(OTP)を必須にしました(関東財務局長(金商)第258号)。前日22日に出した緊急のお知らせでは、他社のVPSサーバーが受けた攻撃によって一部利用者の取引口座のIDとパスワードが第三者に取得されたと説明しています。
    同じ22日には、海外からのマイページへのアクセス制限も始めました。パスワード変更の呼びかけで終わらせず、口座を外から触られる経路そのものを減らしたのが今回の対応です。
    なお同社は10月17日に、19日から「証券CFD」の取り扱いを始めるとも発表しています。セキュリティ対応と重なって目立ちませんでしたが、扱う商品が増えた週でもありました。
    ▼FXTF(公式)お知らせ一覧
  • OANDA証券・外為ファイネスト:2社とも、出金まわりの確認をいったん厳しくしました(関東財務局長(金商)第2137号/同第102号)。OANDA証券は10月22日に、セキュリティ強化のため出金処理のスケジュールを一時的に変更すると発表し、23日には新規口座開設と株価指数CFDのサブアカウントの手続きが3~4営業日ほど遅れることも告知しています。
    外為ファイネストも23日に、不正ログインと不正取引に関するお知らせの第2報とあわせて出金手続きの確認を強化しました。不正に動かされた資金が外へ出ていく一歩手前で止める狙いです。
    出金が遅れるのは利用者には不便ですが、資金が抜ける経路をふさぐのが被害を止める最短の方法でもあります。該当するサーバーで取引ツールを動かしていた場合は、各社の案内に沿ってパスワードの変更と取引履歴の確認を済ませておきたいところです。
    ▼OANDA証券(公式)お知らせ一覧
  • 松井証券:10月16日、FX口座向けに「FX生成AIレポート」の提供を開始しました(関東財務局長(金商)第164号)。利用者自身の取引履歴を生成AIが分析して売買の傾向を文章で返すもので、相場予想ではなく取引の振り返りを支える位置づけです。
    同じ16日には、FXお客様サイトとFXアプリの機能改善も発表しています。17日からの提供で、自動売買のシミュレーション機能などが加わりました。
    自動売買をめぐっては今回の不正アクセスの件があったばかりですが、こちらは外部のサーバーにツールを置かず、口座側の仕組みの中で試せる点が違います。取引の記録を残して振り返る道具が増えるのは、結果を自分で確かめたい人には使いどころのある変化です。
    ▼松井証券(公式)「FX生成AIレポート」を提供開始

7. シカウチから一言

お名前事件の影響で、FX業界が先細っていったら困るなと思っています。

あくまで周辺環境、それも不可抗力度が高いトラブルであり、外国為替取引におけるシステムトレードが勝てなくなったわけじゃないですからね。

MT4やMT5を扱っている国内FX会社の多くは規模が大きくなくて、今回の事件でユーザーや取引高が減ってしまった結果、サービスを続けられないみたいになったら無念です。


本配信はシカウチ(雑誌『外国為替』編集長)が個人として行っています。情報提供のみが目的であり、投資助言・売買推奨ではありません。最終的な投資判断はご自身の責任で行ってください。本配信では金融庁登録の国内業者の情報のみを扱います。
配信元:シカウチ(雑誌『外国為替』編集長・個人)

ABOUT ME
シカウチ
FX雑誌「外国為替」の編集長。FX攻略.comの副編集長として11年間、取材・執筆・編集に携わったのちに独立。トレーダーとして、自動売買中心にFXの運用を行う。
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