米8月CPIはコア指数が前月比+0.3%と予想を上回り、9月FOMCでの利上げ観測が一気に強まりました。それでも円は2週続けて8通貨中で最も強く、ドル円は153円55銭で越週しています。今週は16日のFOMC、17日のBOE、18日の日銀と、主要中銀の決定が3日続けて並びます。

1. 先週の金融市場まとめ(9/7~9/11)

■ 主要銘柄の週間騰落

銘柄 金曜終値 週間騰落率 週間レンジ(H/L)
USD/JPY 153.554 -1.71% 154.402 / 153.535
EUR/USD 1.1602 -0.13% 1.1639 / 1.1602
EUR/JPY 178.142 -1.82% 179.440 / 178.142
GBP/JPY 207.771 -1.61% 209.075 / 207.771
AUD/JPY 110.117 -2.13% 111.414 / 110.117
GBP/USD 1.3529 +0.09% 1.3548 / 1.3510
日経平均 64,011.34 -1.55% 66,399.84 / 64,011.34
NYダウ 52,573.29 -1.57% 53,414.25 / 52,064.10
S&P500 7,656.98 -0.80% 7,718.60 / 7,591.70
ゴールド(NY金) 4,390.6 -1.92% 4,476.60 / 4,390.55
WTI原油 100.01 +9.32% 102.48 / 91.48

※週間騰落率は先週金曜NY引けに対する金曜NY引けの変化率。週間レンジは月~金の終値ベースの高安。FX・株価指数・コモディティはYahoo!ファイナンスJP(確定終値)より取得。

■ 主要ニュース

  • 米8月消費者物価指数(CPI)はコア指数が前月比+0.3%と予想を上回りました(11日)。総合は前月比+0.4%・前年同月比+3.4%と予想どおりでしたが、コアが4月以来の高い伸びとなり、9月16日のFOMC(連邦公開市場委員会)での利上げ織り込みは9割近くまで高まりました。ドル円は発表直後に154円48銭へ上昇したあと、153円24銭まで反落しています。
  • 欧州中央銀行(ECB)が0.25%の利上げを決定(10日)。主要リファイナンス金利は2.40%から2.65%へ、預金ファシリティ金利は2.25%から2.50%へ引き上げられ、適用は9月16日からです。2026年に入って2度目の利上げで、ラガルド総裁は会見で今回の判断を「考えるまでもない」と表現しました。それでもユーロは買われず、ユーロドルは週間-0.13%とほぼ横ばいで終えています。
  • WTI原油が週間+9.32%の100.01ドルと、2週続けて大きく上昇しました。米国とイランの攻撃の応酬が続き、9日には米軍がカーグ島周辺の標的を攻撃したと報じられ、10日は+6.69%の102.48ドルと約3か月半ぶりの高値を付けています。11日はサウジアラビアが東西パイプラインの閉鎖を発表するなか、-2.41%と反落して越週しました。
  • 日銀が9月17日~18日の会合で1.25%へ利上げする公算と共同通信が報じました(8日)。実現すれば6月会合以来3か月ぶりで、マイナス金利解除後では最短間隔の追加利上げとなります。報道を受けてドル円は東京午前に152円89銭まで急落したあと、ロンドンで154円42銭へ戻すなど、1日の値幅が153銭に広がりました。
  • 米8月卸売物価指数(PPI)は前年同月比+5.4%と予想(+5.3%)を上回りました(10日)。コア指数も4.2%から4.6%へ加速し、米10年債利回りは4.944%と前日から11ベーシスポイント近く上昇。週末には4.975%まで水準を切り上げ、原油高が金利上昇を通じてドル買いにつながる構図が週を通して続きました。
  • 日経平均は11日に1,259円61銭安(-1.93%)の64,011円34銭と、8月4日以来およそ1か月ぶりの安値に沈みました。原油高と世界的な金利上昇が企業業績の下振れにつながるとの警戒からAI・半導体関連株が売られ、下げ幅は一時2,000円を超える場面もありました。日本の10年債利回りが節目の3%まで上昇したことも重荷です。
  • 米9月ミシガン大学消費者態度指数・速報値は47.8と、予想の51.0を大きく下回りました(11日)。ガソリン価格の上昇が家計の心理を冷やした形で、CPIを受けたドル買いはこの数字を境に一服しています。8月の月次財政収支は-1,668億ドルと、予想(-4,040億ドル)ほどは悪化しませんでした。
  • 日本の4-6月期GDP改定値は前期比+0.4%・年率+1.4%(8日)。速報の年率+1.1%からは上方修正されたものの、市場予想の+1.6%には届きませんでした。7月の国際収支・貿易収支は-3,999億円と、予想より赤字幅が拡大しています。
  • ユーロ圏の4-6月期GDP確定値は前期比+0.6%と、速報の+0.4%から上方修正されました(7日)。一方でドイツの7月鉱工業生産は前月比-1.1%(予想+0.2%)と大幅に下振れ、域内で強弱が分かれています。米国とカナダはレーバーデーで休場でした。
  • 新興国の中央銀行は3行そろって据え置き。ポーランド国立銀行が3.75%(9日)、トルコ中銀が37.00%(10日)、ロシア中銀が14.00%(11日)で、いずれも予想どおりです。トルコは5会合連続の据え置きで、声明では原油高によるインフレ上振れリスクに言及しつつ、10月の利下げに含みを残しました

■ 主要指標の結果

発表日 指標 前回 予想 結果
9/7 ユーロ圏 4-6月期GDP確定値(前期比) 0.4% 0.4% 0.6%
9/7 ドイツ 7月鉱工業生産(前月比) 0.2% 0.2% -1.1%
9/8 日本 4-6月期GDP改定値(年率換算) 1.1% 1.6% 1.4%
9/8 中国 8月貿易収支(米ドル) 1,125.0億ドル 1,190.5億ドル 1,190.9億ドル
9/9 ポーランド国立銀行 政策金利 3.75% 3.75% 3.75%
9/9 中国 8月消費者物価指数(前年同月比) 0.5% 0.8% 0.8%
9/10 欧州中央銀行(ECB)政策金利 2.40% 2.65% 2.65%
9/10 トルコ中銀 政策金利 37.00% 37.00% 37.00%
9/10 米国 8月卸売物価指数(前年同月比) 4.7% 5.3% 5.4%
9/10 米国 8月中古住宅販売件数(年率換算) 406万件 398万件 398万件
9/11 英国 7月月次GDP(前月比) 0.3% 0.0% 0.4%
9/11 米国 8月消費者物価指数(前年同月比) 3.4% 3.4% 3.4%
9/11 米国 8月CPIコア指数(前月比) 0.2% 0.2% 0.3%
9/11 米国 9月ミシガン大学消費者態度指数・速報値 51.7 51.0 47.8
9/11 ロシア中銀 政策金利 14.00% 14.00% 14.00%

■ 週間騰落率TOP5

 

順位 通貨ペア 週間騰落率 金曜終値
1位 NZD/JPY -2.77% 89.298
2位 CHF/JPY -2.50% 188.066
3位 AUD/JPY -2.13% 110.117
4位 CAD/JPY -1.98% 110.696
5位 EUR/JPY -1.82% 178.142

週間騰落率の上位5本はすべてクロス円の下落で、3週続けて同じ並びになりました。最大はNZドル円の-2.77%で、ニュージーランド準備銀行が2日の利上げ後に声明を慎重化させたこと、17日の4-6月期GDPが減速予想であることが重なっています。

スイスフラン円の-2.50%が2位に入った点は先週との違いです。先週は資源国通貨が下位を占めましたが、今回は金利のつかない通貨が売られ、世界的な金利上昇が通貨の並びに素直に出た一週間でした。

■ 週間強弱ランキング

1位 ++JPY   +2.07%
2位 +USD    +0.12%
3位 --GBP   -0.43%
4位 --EUR   -0.73%
5位 --CAD   -1.12%
6位 --AUD   -1.27%
7位 --CHF   -1.63%
8位 --NZD   -1.92%

円が2週連続の首位です。スコア+2.07%は2位のドル(+0.12%)を大きく引き離しており、円だけが買われた一週間だったことがはっきり出ています。日銀の9月利上げ観測が週を通して支えになりました。

残る6通貨はすべて「–」で、下位はNZドル(-1.92%)、スイスフラン(-1.63%)、豪ドル(-1.27%)と続きます。ドルはコアCPIの上振れで持ち直したものの、対円では-1.71%と円には勝てませんでした

2. 今週の金融市場(9/14~9/18)

■ 経済指標カレンダー(JST・重要度★3優先)

日付 時刻 指標・イベント 重要度 前回 予想
9/14 21:30 カナダ 8月消費者物価指数(前年同月比) ★★ 3.0% 3.0%
9/14 24:15 ユーロ圏 ラガルドECB総裁、発言 ★★
9/15 米国 FOMC 1日目 ★★
9/15 11:00 中国 8月小売売上高(前年同月比) ★★ 0.6% 0.8%
9/15 15:00 英国 7月失業率(ILO方式) ★★ 4.9% 5.0%
9/15 18:00 ドイツ 9月ZEW景況感調査(期待指数) ★★ 34.2 40.0
9/16 21:30 米国 8月小売売上高(前月比) ★★★ -0.6% 0.9%
9/16 27:00 米国 FOMC 政策金利発表 ★★★ 3.50-3.75% 3.50-3.75%
9/16 27:30 米国 ウォーシュFRB議長、定例記者会見 ★★★
9/16 30:30 ブラジル ブラジル中央銀行 政策金利 ★★★ 14.00% 13.75%
9/17 日本 日銀・金融政策決定会合(1日目) ★★
9/17 07:45 ニュージーランド 4-6月期GDP(前期比) ★★★ 0.8% 0.1%
9/17 18:00 ユーロ圏 8月HICP改定値(前年同月比) ★★★ 3.3% 3.3%
9/17 20:00 英国 イングランド銀行(BOE)金利発表 ★★★ 3.75% 3.75%
9/17 21:30 米国 9月フィラデルフィア連銀製造業景気指数 ★★ 47.4 32.8
9/18 日本 日銀 金融政策決定会合 政策金利発表 ★★★ 1.00% 1.25%
9/18 08:30 日本 8月全国消費者物価指数(前年同月比) ★★★ 1.9% 2.0%
9/18 15:00 英国 8月小売売上高(前月比) ★★ -0.5% -0.2%
9/18 15:30 日本 植田日銀総裁、定例記者会見 ★★★
9/18 22:15 米国 8月鉱工業生産(前月比) ★★ 0.2% 0.3%

■ 今週のテーマ

  • 16日(水)のFOMCが今週最大の山場です。11日のコアCPIが前月比+0.3%と上振れしたことで、市場の利上げ織り込みは9割近くまで高まりました。もっとも外為どっとコムの事前予想は3.50-3.75%の据え置きで、見方は割れています。同じ日には8月小売売上高(予想+0.9%)も出るため、日本時間27時の結果と27時30分のウォーシュ議長会見までは振れやすい時間帯が続きます。
  • 18日(金)の日銀会合は1.25%への利上げが有力視されています。共同通信の報道以降、市場はすでに相当程度織り込んでおり、焦点は利上げそのものより、植田総裁が会見で次の一手にどこまで含みを持たせるかに移ります。同じ日の朝には8月の全国CPI(予想は前年同月比+2.0%)も発表され、利上げの根拠がそろうかが確認されます。
  • 17日(木)にはイングランド銀行(BOE)が3.75%の据え置き予想で控えます。FOMC・BOE・日銀が3日続けて並ぶ週は珍しく、それぞれの結果がクロス円やポンド円に連鎖しやすい点には留意が必要です。同じ17日にはユーロ圏の8月HICP改定値、ニュージーランドの4-6月期GDP(予想は前期比+0.1%へ減速)も重なります。
  • 原油と中東情勢が引き続き通奏低音です。WTIは2週で20%近く上げ、100ドル台での越週となりました。原油高は米国のインフレ期待と長期金利を押し上げる経路と、日本の貿易赤字を通じて円を売る経路の両方を持ちます。先週は前者が勝って金利上昇とドル買いにつながりましたが、株安が深まる局面では円買いが優勢になりやすく、どちらが効くかで景色が変わります。

3. ドル円とユーロドルの現在位置

■ドル円 日足分析

※日足チャートにボリンジャーバンド(21)の±2σと200SMAを表示

7月末の為替介入により、日足ボリンジャーバンドの±2σが大きく広がったものの、その後のジリ上げで縮小。しかし9月上旬の強烈な円高により、またバンド幅は急拡大しています。

一度割り込んだ155円付近のサポレジ転換あるかな?と思って見てたら、その手前で続落しています。ここはもう下降トレンドで見るしかありませんね。

■ユーロドル 日足分析

※日足チャートにボリンジャーバンド(21)の±2σと200SMAを表示

ドルと円ほどの強弱関係がないので、じわっと動く流れがずっと続いています。積極的に仕掛けるのは難しいですね。

4. 気になる通貨ペア:CHFJPY

下降バンドウォーク始まりましたね。赤のトレンドライン、水色の水平線を下抜けして、バンド幅急拡大。チャート的には明らかに下がる形です。

5. 世界の金利動向

■ 先進国の政策金利(9/13時点・出典:外為どっとコム)

国・地域 政策金利 直近の動き 次回会合
日本 1.00% 2026年6月 +0.25% 9月18日
米国 3.50-3.75% 2025年12月 -0.25% 9月16日
ユーロ圏 2.50%(預金ファシリティ) 2026年9月 +0.25% 10月29日
英国 3.75% 2025年12月 -0.25% 9月17日
カナダ 2.25% 2025年10月 -0.25% 10月28日
豪州 4.35% 2026年5月 +0.25% 9月29日
ニュージーランド 2.75% 2026年9月 +0.25% 10月28日
スイス 0.00% 2025年6月 -0.25% 9月24日
ノルウェー 4.25% 2026年5月 +0.25% 9月24日
スウェーデン 1.75% 2025年9月 -0.25% 9月24日

■ 新興国の政策金利

国・地域 政策金利 直近の動き 次回会合
香港 4.00% 2025年12月 -0.25% 9月17日
中国(最優遇貸出金利・1年) 3.00% 2025年5月 -0.10% 9月21日
南アフリカ 7.00% 2026年5月 +0.25% 9月23日
トルコ 37.00% 2026年1月 -1.00% 10月22日
メキシコ 6.50% 2026年5月 -0.25% 9月24日
ロシア 14.00% 2026年7月 -0.25% 10月23日
ハンガリー 5.50% 2026年8月 -0.25% 9月22日
チェコ 3.75% 2026年6月 +0.25% 9月17日
ポーランド 3.75% 2026年3月 -0.25% 10月7日

先週はECBが2.25%から2.50%へ利上げし、利上げ局面にある中央銀行は日本銀行とECBの2行になりました。ニュージーランド準備銀行は2会合連続の利上げを終えて据え置き寄りに移っています。今週は16日のFOMC、17日のBOE、18日の日銀と主要中銀の決定が3日続けて並び、日銀は1.00%から1.25%への利上げが有力視されています。マイナー通貨ではトルコ中銀が5会合連続で37.00%に据え置き、声明で原油高によるインフレ上振れリスクに触れつつ、10月22日の会合での利下げに含みを残しました。ポーランド国立銀行も3.75%で据え置き、次回会合は10月7日です。

主要15通貨の金利見通しマップ

利上げ局面にあるのは日本銀行と欧州中央銀行(ECB)の2行です。今週は16日のFOMC、17日のBOE、18日の日銀と決定が3日続き、日銀は1.25%への利上げが有力視されています。マイナー通貨ではハンガリーが唯一の利下げ局面で、22日の会合が次の節目です。

6. FX業界ニュース

国内FX業者(金融庁登録の業者のみ)の今週の新着情報です。

  • 楽天証券:楽天FXで取り扱う17通貨ペアの標準スプレッドを9月14日(月)7時から縮小します。ユーロ/円が0.5銭から0.4銭、豪ドル/円が0.6銭から0.5銭、カナダ/円が1.7銭から0.6銭など、キャンペーンの縮小幅をそのまま恒久化する形です(いずれも200万通貨まで原則固定・例外あり)。同日に楽天MT4でも13通貨ペアの縮小を発表しています。
    楽天証券(公式)【楽天FX】17通貨ペアのスプレッドを縮小いたします!(9/14~)
  • インヴァスト証券:トライオートFXで「ハンガリーフォリント スワップポイント増額キャンペーン」を9月30日まで実施中です。ハンガリーフォリント/円の新規買建玉に付与されるスワップポイントを70%上乗せ(1万通貨あたり1.0円)、スイスフラン/ハンガリーフォリントの新規売建玉には15%上乗せします。ハンガリーの政策金利は5.50%で、次回会合は9月22日です。
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7. シカウチから一言

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いわゆるポートフォリオの多様性があるため、ゴトー日EAがだめでも、他が頑張っている感じです。


本配信はシカウチ(雑誌『外国為替』編集長)が個人として行っています。情報提供のみが目的であり、投資助言・売買推奨ではありません。最終的な投資判断はご自身の責任で行ってください。本配信では金融庁登録の国内業者の情報のみを扱います。
配信元:シカウチ(雑誌『外国為替』編集長・個人)

ABOUT ME
シカウチ
FX雑誌「外国為替」の編集長。FX攻略.comの副編集長として11年間、取材・執筆・編集に携わったのちに独立。トレーダーとして、自動売買中心にFXの運用を行う。
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