Sawyerさんが開発したEA、Power_of_Japanのリアル運用結果、特徴、開発者インタビュー、バックテスト結果とおすすめの設定などを解説しています。
Power_of_Japanの特徴
- 全ロジックが公開されている
- 実需に基づいている
- 緩やかな円安相場、円高相場が得意。急激な円安相場は苦手
全ロジックが公開されている
GogoJungleでEAとして販売されているPower_of_Japanですが、全てのロジックが完全に公開されている非常に珍しいEAです。
「毎月23~31日の午前8時にドル円を売り、午後3時に決済する」
多少調整する機能があるようですが、基本はこれだけです。
月末に円が買われる実需がある
詳細は開発者であるSawyerさんのブログにありますが、簡単にいうと「日本の企業が貿易などの利益で得た外貨を、月末に円に交換する動き」を狙います。
給与や株式への配当を支払うため、受け取った米ドルなどを円に交換する実需が月末に発生します。これは円買い、外貨売りの売買となるため、ドル円に売り圧力がかかります。
得意な相場
- 緩やかな円安相場:日本企業の業績が良くなり、実需に沿った月末の円買いが活発になる
- 円高相場:円買いロジックなので、普通に勝ちやすくなる
苦手な相場
- 急激な円安相場:リーマンショック直前(2008年の春~夏)やトランプラリー(2016年秋~冬)は負けています。ただし、2022年の春から秋にかけても強力な円安トレンド時にはプラスになっています
- ボラティリティが極端に低い相場:円高方向の動きになっても、あまりに動かないとスプレッド負けすることがあります
開発者Sawyerさんからのコメントやアドバイス
開発者プロフィール
開発者名 | Sawyer |
EA開発開始時期 | 2017年ごろから |
主な開発EA名 | Power_of_Japan、Sprout |
EA開発を始めたきっかけ | 元々、個別株式のシステムを開発運用していました。 リスクの分散先としてFXの自動売買(EA)を開始しました。 FX自動売買は株式に比較すると取引量によるチャートへの影響も比較的小さいため、販売することを決めました。 |
EA開発において大切にしていること | 自身が運用できる・したいEAの開発することを念頭に置いています。 大勢で運用可能なもののみを販売しています。 |
自動売買で成功を目指す投資家へのメッセージ | 自動売買では大きなインパクトのある収益を目指すことは難しいです。 しかし、コツコツと期待値を追いかけることについては機械的に取引できる分継続して実行することができます。 裁量ではなくあえて自動売買を使うのであれば、自動売買の有利な土俵で戦うように心掛けることが成功への一歩かなと思います |
ブログ | https://bldportfolio.com/ |
https://twitter.com/Sawyer_bld |
Sawyerさんにインタビューしてみた
シカウチ このEAを開発したきっかけを教えてください
Sawyer もともと、個別株のシステムを運用していたんですが、個別株のIR公開における為替変動に気が付いたことが、このEAを作ろうと思うきっかけになりました。
シカウチ このEAは、どういったユーザーにお勧めできますか?
Sawyer リスクを分散するためのポートフォリオの一員として、いろいろなEAと組み合わせやすいと思います。逆に、大きなロットを張って、一気に勝負をかけるようなギャンブル的トレードには向いていません。
シカウチ このEAのポイントはズバリどこですか?
Sawyer 日本企業の配当や給与の支払いのための為替移動が、利益の源泉になっています。実需の存在を狙ってトレードしているため、安定感があります。
ただ、日本の企業の動向で利益が出やすい時期、出にくい時期がハッキリと分かれてしまう難点はありますが、ロジック自体に普遍的な優位性があると思っています。短期的に判断せず、気長に運用することがポイントじゃないでしょうか。
シカウチ 利用される皆さんにメッセージをお願いします。
Sawyer 日本の会社の企業努力の一部を、我々だけでこっそりいただきましょう(笑)。
参考リンク
【自作EA紹介】Power_of_Japan
開発者ブログに掲載されているEA解説記事です
【FX運用】月末円買いのアノマリーの利用者増加による影響について
より深く、このEAに関連する事象について解説されています
日本企業の月末要因による円買いアノマリーについて
2023年3月に開発されたEA開発者学会(シカウチも参加)で発表された論文です
GogoJungleの販売ページ
GogoJungleからEAを購入する場合はこちらから
フォワードテスト結果 Myfxbook

運用開始 | 2023/03/23 |
最終取引日 | 2023/08/31 |
増減率 | -3.31% |
ドローダウンの真っ最中に結果的にスタートしたことになり、バックテスト結果同様に今のところ負けています。
バックテスト結果①Strategy Tester Report
- 想定年間リターンは、許容最大DDが10%なら5.44%、20%なら10.88%
- 100万円で10年運用した場合、許容最大DDが10%なら、想定年間リターンは+54,405円、20%なら+108,811円。
- 資金10万円で、最大DDを20%まで受け入れると、0.04ロット(4000通貨)運用で、想定年間リターンは+10,881円。
2014年~2023年の10年間バックテスト

バックテスト開始日 | 2014/01/02 | |
バックテスト終了日 | 2023/08/23 | |
テスト期間(日数) | 3520 | |
初期証拠金(ドル) | $10,000 | |
取引ロット(0.01=1000通貨) | 0.2 | |
純益(ドル) | $3,905.79 | |
最大ドローダウン(ドル) | $744.42 | |
最大DDを初期証拠金の5%にした場合 | 取引ロット | 0.13 |
純益(ドル) | $2,623 | |
純益(円) | ¥384,154 | |
取引期間の想定年間リターン | 2.72% | |
最大DDを初期証拠金の10%にした場合 | 取引ロット | 0.27 |
純益(ドル) | $5,247 | |
純益(円) | ¥768,309 | |
取引期間の想定年間リターン | 5.44% | |
最大DDを初期証拠金の20%にした場合 | 取引ロット | 0.54 |
純益(ドル) | $10,494 | |
純益(円) | ¥1,536,617 | |
取引期間の想定年間リターン | 10.88% | |
1ドル= | ¥146.44 | |
バックテストの環境 | Tick Data Suite、Ducascopyのデフォルト設定から、スプレッドを「変動、最小スプレッド:20、最大スプレッド:20」に、スリッページを「有効」に変更して計測 |
資金と許容DDから計算される取引ロットと想定リターン
10年間バックテストから計算した、取引資金と許容最大DDごとの取引ロット、想定リターン | |||
初期資金 | 受け入れる最大DD | 取引ロット | 年間想定リターン |
¥100,000 | 5% | 0.01 | ¥2,720 |
10% | 0.02 | ¥5,441 | |
20% | 0.04 | ¥10,881 | |
¥200,000 | 5% | 0.02 | ¥5,441 |
10% | 0.04 | ¥10,881 | |
20% | 0.07 | ¥21,762 | |
¥500,000 | 5% | 0.05 | ¥13,601 |
10% | 0.09 | ¥27,203 | |
20% | 0.18 | ¥54,405 | |
¥1,000,000 | 5% | 0.09 | ¥27,203 |
10% | 0.18 | ¥54,405 | |
20% | 0.37 | ¥108,811 |
バックテスト結果②岩ライザーFX
- バックテスト結果①と同条件だが、最大DDを500ドル、相対DDを-5%に設定
- この条件で発生したDDは1回(2回目は2023年8月時点でDD継続中)
- この条件で発生した1回のDDは700日継続と、2年近いDD期間
最大DD | 最大DD設定 | $500 |
最大通常DD | -$702 | |
通常DD発生回数 | 1回 | |
年間平均通常DD回数 | 0.1回 | |
通常DD回復最大期間 | 700日 | |
通常DD回復最小期間 | 700日 | |
通常DD回復平均期間 | 700日 | |
相対DD設定 | 相対DD設定 | -5.00% |
最大相対DD | -5.70% | |
相対DD発生回数 | 1回 | |
年間平均相対DD回数 | 0.1回 | |
相対DD回復最大期間 | 700日 | |
相対DD回復最小期間 | 700日 | |
相対DD回復平均期間 | 700日 |




