米財務省の買い戻しオペ拡大と中東情勢の緊迫でドルが8通貨で最弱となり、NY金は週間5.5%高で越週した一週間でした。

1. 先週の金融市場まとめ(8/17~8/21)

■ 主要銘柄の週間騰落

銘柄 金曜終値 週間騰落率 週間レンジ(H/L)
USD/JPY 158.862 -0.28% 159.581 / 158.100
EUR/USD 1.1678 +0.91% 1.1681 / 1.1579
EUR/JPY 185.594 +0.67% 185.696 / 184.518
GBP/JPY 216.787 +0.52% 216.787 / 215.097
AUD/JPY 113.964 +0.96% 113.964 / 112.581
GBP/USD 1.3648 +0.83% 1.3648 / 1.3536
日経平均 66,016.36 -3.93% 69,220.25 / 65,326.42
NYダウ 53,277.01 -0.85% 53,463.05 / 52,759.21
S&P500 7,674.37 -1.43% 7,745.06 / 7,641.16
ゴールド(NY金) 4,680.6 +5.48% 4,680.60 / 4,420.60
WTI原油 87.06 +5.66% 87.06 / 84.50

※週間騰落率は先週金曜NY引けに対する金曜NY引けの変化率。週間レンジは月~金の終値ベースの高安。FX・株価指数・コモディティはYahoo!ファイナンスJP(確定終値)より取得。

■ 主要ニュース

  • 米財務省が長期国債の買い戻しオペを2倍に拡大すると発表(19日)。残存10~20年と20~30年を対象に1回あたりの上限を20億ドルから少なくとも40億ドルへ引き上げる内容で、米国債利回りが急低下してドル売りが一気に加速しました。ドル円は159円台後半から一時158円05銭まで下げています。
  • 日本の長期金利が約30年ぶりの高水準に。新発10年物国債の利回りは17日に2.930%、18日には2.945%と1996年10月以来の水準をつけました。日銀の早期利上げ観測に加え、円安と資源高が物価を押し上げるとの見方が国債売りを呼び、30年債利回りも一時5.29%と2007年以来の高さです。
  • 日経平均は2営業日で3,894円下落(18日-1,759円、19日-2,134円)。金利上昇がバリュエーションの高いAI・半導体関連を直撃しました。20日は890円高と反発しましたが、週間では2,697円44銭安の-3.93%と3週ぶりの大幅安です。
  • 中東情勢が一段と緊迫。米イランの戦争終了に向けた覚書(MOU)が期限を迎え、トランプ米国大統領は延長要請の意向がないと伝えられました。19日にはアラブ首長国連邦(UAE)がイランの弾道ミサイル発射を非難し、イランとのあらゆる経済関係を断絶すると表明。安全資産と原油に資金が向かい、NY金は4,680.6ドル(週間+5.48%)、WTI原油は87.06ドル(同+5.66%)まで買われました。
  • 米国の景況感指標が軒並み予想を上回りました。17日の8月ニューヨーク連銀製造業景気指数は20.6(予想11.5)、20日の8月フィラデルフィア連銀製造業景気指数は47.4(予想24.8)と予想のほぼ倍、21日の8月サービス部門PMI速報値も56.8(予想54.0)です。ただし同じ日の製造業PMIは53.2(予想53.9)と小幅に下振れており、強いのはサービスと景況感マインドで、製造業の実体は横ばいという濃淡が出ています。
  • 日本の7月全国CPIは前年同月比+1.9%(前回+1.6%)、生鮮食料品を除くコアは+1.8%。伸びは加速したものの、日銀目標の2%は7カ月連続で下回りました。市場は9月の利上げをほぼ織り込み済みで、関心は利上げペースとターミナルレートに移っています。
  • 米連邦準備制度理事会(FRB)内部の見解は割れています。20日、サンフランシスコ連銀のデーリー総裁が「先制的な利上げを必要とする根拠は見当たらない」と述べた一方、セントルイス連銀のムサレム総裁は7月のFOMCで利上げを提言していたと明かし、コアインフレ2.5~3.0%は高過ぎると語りました。
  • 7月28日・29日開催分のFOMC議事要旨(19日公表)は「多くがインフレが低下しないなら利上げが必要になる」などタカ派的な記述が並んだ一方、大半は据え置きを支持。市場は想定内と受け止め、ここでもドルが売られました。9月FOMCについて短期金融市場は67%の確率で据え置きを見込んでいます。
  • CFTCの建玉報告(18日時点)では円の売り越しが増加。IMM通貨先物は5万2,893枚の売り越しで1万808枚の売り越し増、レバレッジド・ファンズも7万3,641枚の売り越しで1万4,115枚増えました。一方でスイスフランの売り越しは減少しています。

■ 主要指標の結果

発表日 指標 前回 予想 結果
8/17(月) 日本 4-6月期実質GDP(速報値、年率換算) 1.8% 2.0% 1.1%
8/17(月) 米国 8月ニューヨーク連銀製造業景気指数 15.6 11.5 20.6
8/18(火) ドイツ 8月ZEW景況感調査(期待指数) 26.3 30.0 34.2
8/18(火) 米国 7月住宅着工件数(年率換算) 142.7万件 134.2万件 123.9万件
8/19(水) 英国 7月消費者物価指数(CPI、前年同月比) 2.6% 2.9% 2.9%
8/19(水) 日本 6月機械受注(前年同月比) -1.9% 10.8% 16.9%
8/20(木) 豪州 7月新規雇用者数 8.02万人 1.50万人 -1.58万人
8/20(木) 米国 8月フィラデルフィア連銀製造業景気指数 41.4 24.8 47.4
8/20(木) スウェーデン中銀、政策金利 1.75% 1.75% 1.75%
8/21(金) 日本 7月全国CPI(前年同月比) 1.6% 1.9% 1.9%
8/21(金) 日本 7月全国CPI(生鮮食料品除く、前年同月比) 1.6% 1.8% 1.8%
8/21(金) 英国 7月小売売上高(前年同月比) 4.2% 2.2% 1.6%
8/21(金) ユーロ圏 8月製造業PMI(速報値) 51.9 51.8 52.8
8/21(金) 米国 8月サービス部門PMI(速報値) 54.4 54.0 56.8
8/21(金) 米国 8月製造業PMI(速報値) 53.4 53.9 53.2

■ 週間騰落率TOP5

順位 通貨ペア 週間騰落率 金曜終値
1位 USD/CHF -1.50% 0.8008
2位 NZD/USD +1.49% 0.5982
3位 CHF/JPY +1.26% 198.378
4位 AUD/USD +1.24% 0.7175
5位 NZD/JPY +1.21% 95.022

首位はドルスイスの-1.50%です。5本の内訳はドル絡みが3本(ドルスイス・NZドル米ドル・豪ドル米ドル)、円絡みが2本(スイスフラン円・NZドル円)で、いずれもドル売りまたは円売りの側に立っています。買われた通貨はスイスフラン・NZドル・豪ドルの3つだけです。対円で最も動いたのはスイスフラン円の+1.26%で、NZドル円が+1.21%で続きました。NZドルが対ドル・対円の両方でTOP5に入ったのは、9月2日のニュージーランド準備銀行の会合を控えて金利面の関心が戻ってきたことが背景にありそうです。

■ 週間強弱ランキング

1位 ++CHF   +1.38%
2位 ++NZD   +1.35%
3位 ++AUD   +1.10%
4位 ++CAD   +0.65%
5位 ++EUR   +0.58%
6位 ++GBP   +0.40%
7位 --JPY   -0.69%
8位 --USD   -1.00%

「–」が付いたのはドルと円の2通貨で、上位6通貨はすべて「++」という珍しい並びになりました。首位のスイスフランは+1.38%、2位のNZドルは+1.35%とほとんど差がありません。強い通貨が突出したというより、ドルと円がそろって沈んだ結果として他が持ち上がった週と読むのが実態に近いところです。米財務省の買い戻しオペ拡大でドルが売られ、日本では長期金利が30年ぶりの水準まで上がっても円は買われませんでした。

2. 今週の金融市場(8/24~8/28)

■ 経済指標カレンダー(JST・重要度★3優先)

日付 時刻 指標・イベント 重要度 前回 予想
8/24(月) 07:45 ニュージーランド 4-6月期四半期小売売上高(前期比) ★★ 0.9% 0.2%
8/25(火) 10:30 豪州 豪準備銀行、金融政策会合議事要旨公表 ★★
8/25(火) 15:00 ドイツ 4-6月期国内総生産(GDP、改定値、前期比) ★★★ 0.2% 0.2%
8/25(火) 17:00 ドイツ 8月Ifo企業景況感指数 ★★ 86.6 87.2
8/25(火) 23:00 米国 7月新築住宅販売件数(年率換算) ★★★ 62.8万件 62.0万件
8/25(火) 23:00 米国 8月消費者信頼感指数(コンファレンス・ボード) ★★ 90.8 90.2
8/25(火) ハンガリー ハンガリー国立銀行、政策金利 ★★ 5.75%
8/26(水) 10:30 豪州 7月消費者物価指数(CPI、前年同月比) ★★ 3.8% 3.3%
8/26(水) 21:30 米国 7月PCEデフレーター(前年同月比) ★★★ 3.7% 3.6%
8/26(水) 21:30 米国 7月PCEコア・デフレーター(前年同月比) ★★★ 3.3% 3.3%
8/26(水) 21:30 米国 4-6月期実質GDP(改定値、前期比年率) ★★★ 1.5% 1.5%
8/26(水) 21:30 米国 7月耐久財受注(前月比) ★★ 0.5% 0.5%
8/27(木) 韓国 韓国中銀、政策金利 ★★ 2.75% 3.00%
8/27(木) 20:30 ユーロ圏 欧州中央銀行(ECB)理事会議事要旨 ★★★
8/27(木) 21:30 米国 前週分新規失業保険申請件数 ★★ 20.6万件 20.8万件
8/28(金) 08:30 日本 8月東京都区部CPI(生鮮食料品除く、前年同月比) ★★ 1.9% 1.8%
8/28(金) 08:30 日本 7月失業率 ★★ 2.5% 2.5%
8/28(金) 21:30 カナダ 4-6月期四半期GDP(前期比年率) ★★★ -0.1% 3.3%
8/28(金) 22:45 米国 8月シカゴ購買部協会景気指数 ★★ 57.6 59.0
8/28(金) 23:00 米国 ウォーシュ米連邦準備制度理事会(FRB)議長、発言 ★★★

■ 今週のテーマ

  • 26日(水)の米7月コアPCEデフレーターが今週最大の数字です。予想は前年同月比+3.3%で前回から横ばい。FRBが最も重視する物価指標であり、7月FOMC議事要旨で「インフレが低下しないなら利上げが必要」との記述が並んだ直後だけに、3.3%を上回るか下回るかで9月会合の織り込みが動きやすい局面です。
  • 28日(金)のウォーシュFRB議長の発言。先週表面化した連銀総裁たちの見解の割れを、議長がどちらへ寄せるのかが注目点です。コアPCEの結果を受けた直後の発言になるだけに、9月16日のFOMCに向けたトーンがここで固まる可能性があります。
  • 日本は物価と金利の綱引きが続きます。全国CPIは7カ月連続で2%割れの一方、長期金利は30年ぶりの水準。28日(金)の8月東京都区部CPI(予想+1.8%)は9月18日の日銀会合を見通すうえで直近の手がかりです。先週は金利が上がっても円は売られており、金利差以外の要因が効いていることも押さえておきたいところです。
  • 中東情勢と資源価格の行方。UAEがイランとの経済関係断絶を表明し、ベッセント米財務長官は24日にイラン関連の計画を会見で説明すると述べています。NY金とWTI原油がそろって週間5%超上げた後だけに、事態の進展そのものが今週の変動要因です。

3. ドル円とユーロドルの現在位置

■ドル円 日足分析

※日足チャートにボリンジャーバンド(21)の±2σと200SMA、RCI(9,26,52)を表示

ドル円は事前に引いていた水平線付近で停滞。円安だけどドル安でもあり、膠着の感が強まっています。

■ユーロドル 日足分析

※日足チャートにボリンジャーバンド(21)の±2σと200SMA、RCI(9,26,52)を表示

これまた事前に引いていた水平線で二度跳ね返されて上ヒゲが伸びています。

チャートの左の方と同じくらいの水準をウロウロしているので、レンジ相場ってことになりますね。

4. 気になる銘柄:XAUUSD(ゴールド)

これ水平線くらいまでは上げるんじゃないですかね。上昇トレンドが始まったように見えます。

5. 世界の金利動向

■ 先進国の政策金利(8/23時点・出典:外為どっとコム)

国・地域 政策金利 直近の動き 次回会合
日本 1.00% 2026年6月 +0.25% 9月18日
米国 3.50-3.75% 2025年12月 -0.25% 9月16日
ユーロ圏 2.25%(預金ファシリティ) 2026年6月 +0.25% 9月10日
英国 3.75% 2025年12月 -0.25% 9月17日
カナダ 2.25% 2025年10月 -0.25% 9月2日
豪州 4.35% 2026年5月 +0.25% 9月29日
ニュージーランド 2.50% 2026年7月 +0.25% 9月2日
スイス 0.00% 2025年6月 -0.25% 9月24日
ノルウェー 4.25% 2026年5月 +0.25% 9月24日
スウェーデン 1.75% 2025年9月 -0.25% 9月24日

■ 新興国の政策金利

国・地域 政策金利 直近の動き 次回会合
香港 4.00% 2025年12月 -0.25% 9月17日
中国(最優遇貸出金利・1年) 3.00% 2025年5月 -0.10% 9月21日
南アフリカ 7.00% 2026年5月 +0.25% 9月23日
トルコ 37.00% 2026年1月 -1.00% 9月10日
メキシコ 6.50% 2026年5月 -0.25% 9月24日
ロシア 14.00% 2026年7月 -0.25% 9月11日
ハンガリー 5.75% 2026年7月 -0.25% 8月25日
チェコ 3.75% 2026年6月 +0.25% 9月24日
ポーランド 3.75% 2026年3月 -0.25% 9月9日

利上げのサイクルを今も回しているのは日本銀行とニュージーランド準備銀行の2行で、そのニュージーランドは9月2日に会合を迎えます。欧州中央銀行・豪準備銀行・ノルウェー中銀・南アフリカ準備銀行・チェコ国立銀行は直近の一手こそ利上げでしたが、その後は据え置きが続いている状態です。マイナー通貨ではハンガリー国立銀行が25日(火)に会合を控えており、5.75%からの連続利下げが続くかが焦点になります。スウェーデン中銀は20日に1.75%で据え置き、次回は9月24日です。

主要15通貨の金利見通しマップ

利上げ局面は日本銀行とニュージーランド準備銀行の2行だけで、残る13中銀は据え置きか利下げです。今週は25日(火)にハンガリー国立銀行の会合があり、6.00%→5.75%と下げてきた流れが続くかが見どころ。9月は2日のニュージーランドとカナダから会合が始まります。

6. FX業界ニュース

国内FX業者(金融庁登録の業者のみ)の今週の新着情報です。

  • みんなのFX(トレイダーズ証券):8月3日から9月30日まで「複数付与日にスワップ上乗せキャンペーン~HUF/JPYリリース3周年記念~」を実施。ハンガリーフォリント/円とハンガリーフォリント/円LIGHTの新規買建玉を複数付与日に持ち越すと、通常スワップに5日分相当額が上乗せされます。期間中の上限は50日分、対象建玉は2ペア合計100Lotまで。申込制です。なお対象通貨の発行国であるハンガリーは連続利下げ局面にあり、25日(火)に中銀会合が控えています。
    ▼みんなのFX(公式)複数付与日にスワップ上乗せキャンペーン~HUF/JPYリリース3周年記念~
  • 外為どっとコム:8月10日午前8時から10月30日午前5時30分まで第59回『バーチャルFX』コンテストを開催中。仮想資産500万円を元手に期間中の成績を競う形式で、参加登録に必要なのはメールアドレスのみ、口座開設は不要です。賞品は1位がアマゾンギフトカード10万円分、以下2位8万円分、3位5万円分と続き、上位10位まで配分されます。自己資金を使わずに約2カ月半のトレードを通しで記録できるため、手法の検証には使いやすい枠組みです。
    ▼外為どっとコム(公式)第59回『バーチャルFX』コンテスト開催のお知らせ

7. シカウチから一言

こちらのYouTubeライブに出演します!月曜の20時から。みなさん見てくださいね~。

岐阜さん、わっきゃいさん、陽和さん、風丸さんなど、重厚なメンツなので気合い負けしないようにしなければ。


本配信はシカウチ(雑誌『外国為替』編集長)が個人として行っています。情報提供のみが目的であり、投資助言・売買推奨ではありません。最終的な投資判断はご自身の責任で行ってください。本配信では金融庁登録の国内業者の情報のみを扱います。
配信元:シカウチ(雑誌『外国為替』編集長・個人)

ABOUT ME
シカウチ
FX雑誌「外国為替」の編集長。FX攻略.comの副編集長として11年間、取材・執筆・編集に携わったのちに独立。トレーダーとして、自動売買中心にFXの運用を行う。
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