今週(7/20~7/24)は中東発の原油高と米金利上昇を背景に円安が加速し、ドル円は一時163.99円と1986年11月以来、39年8カ月ぶりの高値を更新しました。WTI原油は週間+9.2%と急騰してブレントは一時100ドルの大台に乗せ、ECBは2.25%据え置きで9月利上げ観測が拡大。日経平均は週末に1,811円安と急落しました。来週はFOMC(7/29)・BOE(7/30)・日銀(7/31)の中銀ラッシュです。

1. 先週の金融市場まとめ(7/20~7/24)

■ 主要銘柄の週間騰落

銘柄 金曜終値 週間騰落率 週間レンジ(H/L)
USD/JPY 163.791 +0.89% 163.853 / 162.475
EUR/USD 1.1374 -0.58% 1.1417 / 1.1374
EUR/JPY 186.284 +0.30% 186.446 / 185.387
GBP/JPY 218.243 -0.05% 218.243 / 218.157
AUD/JPY 114.241 +0.79% 114.241 / 113.612
GBP/USD 1.3324 -0.97% 1.3431 / 1.3315
日経平均 64,611.15 +0.73% 66,422.60 / 64,611.15
NYダウ 51,947.25 -0.38% 52,224.64 / 51,711.65
S&P500 7,411.98 -0.61% 7,509.20 / 7,408.30
ゴールド(NY金) 4,070.8 +1.29% 4,151.90 / 4,015.80
WTI原油 89.31 +9.21% 92.19 / 82.48

※週間騰落率は先週金曜NY引けに対する金曜NY引けの変化率。週間レンジは月~金の終値ベースの高安。FX・株価指数・コモディティはYahoo!ファイナンスJP(確定終値)より取得。

■ 主要ニュース

  • 米国とイランの攻撃応酬が激化。イエメンの親イラン武装組織フーシ派が紅海でサウジアラビアの石油タンカー2隻を攻撃し、トランプ米大統領は対イラン大規模攻撃を改めて警告。供給不安からWTI原油は一時93ドル台へ急騰し、ブレント原油は一時100ドルの大台に乗せた(7/23)
  • ドル円が一時163.99円と1986年11月以来、39年8カ月ぶりの高値を更新。原油高と米金利上昇が重なった「有事と金利のドル買い」で、円は主要通貨に対して軟調な推移が続いた(7/23)
  • ECB(European Central Bank、欧州中央銀行)が政策金利(中銀預金金利)を2.25%に据え置き。ラガルド総裁は「インフレのリスクは上振れ方向」と述べ、一部メンバーが利上げを主張したことも明らかに。市場では9月利上げ観測が拡大した(7/23)
  • 米10年債利回りが一時4.71%台と約1年半ぶりの高水準に上昇。金利上昇が重荷となり、米株はNYダウ-0.97%・ナスダック-2.15%と大幅反落した(7/23)
  • 週末は米イランの交渉再開期待からWTI原油が89.31ドル(-3.12%)へ反落し、NYダウは+235ドルと反発。ドル円は163.79円と高値圏のまま週を越えた(7/24)
  • 日経平均が週末に1,811円安の64,611.15円と急落。前日の米ハイテク株安と韓国株の急落、翌週に日米の主要ハイテク決算を控えた持ち高調整の売りが重なった(7/24)
  • 日本の6月全国CPI(消費者物価指数)は生鮮食品を除くコアが前年比+1.6%と予想どおりに加速。7/31の日銀金融政策決定会合・展望レポートでの物価見通しに注目が集まる(7/24)
  • ニュージーランドの4-6月期CPIが前年比+4.1%と予想(+4.0%)を上回り、RBNZ(ニュージーランド準備銀行)の追加利上げ観測が強まった(7/21)
  • カナダの6月CPIは前年比+2.8%と予想を下回る鈍化となり、カナダドル売りが先行した(7/20)
  • 新興国中銀はトルコが37.00%、南アフリカが7.00%で据え置き(南アは利上げ予想に反した据え置きでランドが急落)。ロシアは14.00%へ利下げした(7/23~7/24)

■ 主要指標の結果

発表日 指標 前回 予想 結果
7/20(月) カナダ 6月CPI(前年同月比)★2 3.2% 2.9% 2.8%
7/21(火) ニュージーランド 4-6月期CPI(前年同期比)★2 3.1% 4.0% 4.1%
7/21(火) ドイツ 7月ZEW景況感調査(期待指数)★2 10.5 17.5 26.3
7/22(水) 日本 6月貿易統計(通関ベース・季調前)★2 -3786億円 -1200億円 -4069億円
7/22(水) 英国 6月CPI(前年同月比)★2 2.8% 2.7% 2.6%
7/23(木) 豪州 6月新規雇用者数★2 4.03万人 1.50万人 7.63万人
7/23(木) ユーロ圏 ECB政策金利★3 2.40% 2.40% 2.40%
7/23(木) トルコ 中銀政策金利★2 37.00% 37.00% 37.00%
7/23(木) 南アフリカ 中銀政策金利★2 7.00% 7.25% 7.00%
7/23(木) 米国 新規失業保険申請件数★2 20.8万件 21.2万件 18.7万件
7/24(金) 日本 6月全国CPI(生鮮除く・前年同月比)★3 1.4% 1.6% 1.6%
7/24(金) 英国 6月小売売上高(前月比)★2 1.2% -0.3% 1.0%
7/24(金) 米国 7月サービス部門PMI(速報値)★2 51.2 51.5 53.6
7/24(金) ロシア 中銀政策金利★2 14.25% 14.25% 14.00%
7/24(金) 米国 6月新築住宅販売件数(年率)★2 58.0万件 61.0万件 62.8万件

■ 週間騰落率TOP5

順位 通貨ペア 週間騰落率 金曜終値
1位 USD/CHF +1.35% 0.8178
2位 GBP/USD -0.97% 1.3324
3位 NZD/USD -0.89% 0.5793
4位 USD/JPY +0.89% 163.791
5位 AUD/JPY +0.79% 114.241

週間では米金利上昇を背景としたドル買いが鮮明で、USD/CHFが+1.35%と変動率トップ。英ポンド・NZドルの下げも目立ちました。ドル円は+0.89%と続伸。地政学リスクが高まる週にもかかわらず、逃避通貨のスイスフランが全面安となったのが今週の特徴です。

■ 週間強弱ランキング

1位 ++USD   +0.74%
2位 ++AUD   +0.40%
3位 +EUR    +0.04%
4位 -CAD    -0.07%
5位 --JPY   -0.26%
6位 --NZD   -0.45%
7位 --GBP   -0.47%
8位 --CHF   -0.90%

週間強弱はUSDの独歩高となりました。「有事と金利のドル買い」で米ドルが首位、雇用統計が大幅に上振れた豪ドルが2位に続きました。一方でスイスフランが最下位となり、円も原油高による交易条件の悪化が重荷で下位にとどまるなど、金利主導の売買が支配的でした。

2. 今週の金融市場(7/27~7/31)

■ 経済指標カレンダー(JST・重要度★3優先)

日付 時刻 指標・イベント 重要度 前回 予想
7/27(月) 17:00 ドイツ 7月IFO企業景況感指数 ★★ 85.6 86.0
7/27(月) 21:30 米国 6月耐久財受注(前月比) ★★ -4.5% 1.8%
7/28(火) 米国 FOMC(連邦公開市場委員会)1日目 ★★
7/28(火) 23:00 米国 7月消費者信頼感指数(コンファレンスボード) ★★ 91.2 92.3
7/29(水) 10:30 豪州 4-6月期CPI(前期比) ★★★ 1.4% 0.7%
7/29(水) 27:00 米国 FOMC、終了後政策金利発表 ★★★ 3.50~3.75% 3.50~3.75%
7/29(水) 27:30 米国 ウォーシュFRB議長、定例記者会見 ★★★
7/30(木) 日本 日銀金融政策決定会合(1日目) ★★
7/30(木) 17:00 ドイツ 4-6月期GDP(速報値・前期比) ★★ 0.3% 0.0%
7/30(木) 18:00 ユーロ圏 4-6月期GDP(速報値・前期比) ★★ -0.2% 0.2%
7/30(木) 20:00 英国 BOE(イングランド銀行)政策金利発表 ★★★ 3.75% 3.75%
7/30(木) 21:30 米国 4-6月期GDP(速報値・前期比年率) ★★★ 2.1% 2.3%
7/30(木) 21:30 米国 6月PCEコアデフレーター(前年同月比) ★★★ 3.4% 3.3%
7/30(木) 21:30 米国 新規失業保険申請件数 ★★ 18.7万件 20.5万件
7/31(金) 日本 日銀政策金利発表・展望レポート ★★★ 1.00%
7/31(金) 08:30 日本 7月東京都区部CPI(生鮮除く・前年同月比) ★★ 1.6% 1.7%
7/31(金) 15:30 日本 植田日銀総裁、定例記者会見 ★★★
7/31(金) 18:00 ユーロ圏 7月HICP速報値(前年同月比) ★★ 2.8% 2.9%
7/31(金) 21:30 カナダ 5月月次GDP(前月比) ★★ 0.5% 0.2%
7/31(金) 21:30 米国 4-6月期雇用コスト指数(前期比) ★★ 0.9% 0.8%

■ 今週のテーマ

  • 日米英の中銀ラッシュ:7/29 FOMC・7/30 BOE・7/31 日銀と主要中銀の会合が連続。いずれも据え置き予想が中心ですが、高インフレ下で声明・会見のタカ派度が焦点。日銀は展望レポートの物価見通し引き上げの有無に注目
  • ドル円164円と介入警戒:39年8カ月ぶり高値圏で、日本の通貨当局のスタンスに神経質な展開。日銀会合と重なるため、円安けん制発言や実弾介入への警戒感は最高潮
  • 中東情勢と原油:米イランの交渉再開期待で原油は週末に反落したものの、フーシ派のタンカー攻撃など供給リスクは残存。ブレント100ドル台が定着すれば「原油高→円安」の圧力が再燃
  • 米ハイテク決算と月末フロー:日米の主要ハイテク企業の決算が集中。金利上昇下での株のバリュエーション調整に注意。月末のリバランスやロンドンフィックスのフローも交錯しやすい週

3. ドル円とユーロドルの現在位置

■ドル円 日足分析

※日足チャートにボリンジャーバンド(21)の±2σと200SMA、RCI(9,26,52)を表示

ドル円はもう戻ってこないのでしょうね。この形や勢いを見ているとそう感じます。いくらまで上がるかみたいな値段のことは分からないけど、あと5年、10年は円安なのかな?という、時間的にすぐに解決しない感じがします。

■ユーロドル 日足分析

※日足チャートにボリンジャーバンド(21)の±2σと200SMA、RCI(9,26,52)を表示

直近安値に対して、大きなサポレジ、小さなサポレジが発生していて、下がるのかな?という形状です。

4. 気になる通貨ペア:CADCHF

マイナーな通貨ペアです。先週のこの週レポでは、トレンドが出そうな通貨ペアがたくさんあったけど、どれも反転してしまいました。形が綺麗なのは、あまり少なかったです。

5. 世界の金利動向

■ 先進国の政策金利(7/26時点・出典:外為どっとコム)

国・地域 政策金利 直近の動き 次回会合
米国(FRB、Federal Reserve Board) 3.50~3.75% 6/17据え置き 7/29(来週水曜)
日本(日銀) 1.00% 6/16に+0.25%利上げ 7/31(来週金曜)
欧州(ECB、European Central Bank) 2.40% 7/23据え置き 9/10
英国(BOE、Bank of England) 3.75% 6/18据え置き 7/30(来週木曜)
豪州(RBA、Reserve Bank of Australia) 4.35% 6/16据え置き 8/11
カナダ(BOC、Bank of Canada) 2.25% 7/15据え置き 9/2
スイス(SNB、Swiss National Bank) 0.00% 6/18据え置き 9/24
ニュージーランド(RBNZ) 2.50% 7/8に+0.25%利上げ 9/2
ノルウェー(Norges Bank) 4.25% 6/18据え置き 8/13
スウェーデン(リクスバンク) 1.75% 6/17据え置き 8/20

■ 新興国の政策金利

国・地域 政策金利 直近の動き 次回会合
中国(PBOC、人民銀行・LPR) 3.00% 7/20据え置き 8/20
メキシコ(Banxico) 6.50% 6/26据え置き 8/7
南アフリカ(SARB) 7.00% 7/23据え置き 9/23
トルコ(TCMB) 37.00% 7/23据え置き 9/10
ロシア(CBR) 14.00% 7/24に-0.25%利下げ 9/11
ハンガリー(MNB) 6.00% 6/23に-0.25%利下げ 7/28(来週火曜)
香港 4.00% 6/18据え置き 7/30(来週木曜)

今週は7/23にECBが据え置き(9月利上げ観測が拡大)、トルコ・南アフリカも据え置き、7/24にはロシアが14.00%へ利下げしました。来週は7/29 FOMC、7/30 BOE・香港、7/31 日銀と主要中銀の会合が集中します。いずれも据え置き予想が中心ですが、FOMCは高インフレ下での利上げ再開への含み、日銀は展望レポートと植田総裁会見のタカ派度が焦点です。

主要8通貨の金利見通しマップ

日銀・RBNZの2中銀が利上げ局面にあり、FRB・ECB・BOE・RBAも次の一手は利上げ寄りと、世界は引き締め方向に傾いたままです。ハト派寄りはカナダのみ。来週はFOMC・BOE・日銀の3会合で勢力図を再確認する週になります

6. FX業界ニュース

今週は、相場や取引条件に関わる国内FX業者(金融庁登録)の大きな新着発表は確認できませんでした。

7. シカウチから一言

誰がなにをいってもやっても、構造的な円安は止まらなそうですね。感覚的に。

為替介入やってもどうせただの押し目だし、そもそも介入できる残弾数はまだあるの?という感じです。

僕はサッカーが好きです。日本代表の監督に海外の実績がある人を呼ぼうとすると、かつてと比べて円安で莫大なお金がかかるらしいです。

いろいろ厳しい時代ですね。投資も、投機もがんばっていくしかないですね。


本配信はシカウチ(雑誌『外国為替』編集長)が個人として行っています。情報提供のみが目的であり、投資助言・売買推奨ではありません。最終的な投資判断はご自身の責任で行ってください。本配信では金融庁登録の国内業者の情報のみを扱います。
配信元:シカウチ(雑誌『外国為替』編集長・個人)

ABOUT ME
シカウチ
FX雑誌「外国為替」の編集長。FX攻略.comの副編集長として11年間、取材・執筆・編集に携わったのちに独立。トレーダーとして、自動売買中心にFXの運用を行う。
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