今週(8/3~8/7)はリスクオンの一週間でした。中東の緊張緩和でWTI原油が週間7.67%安と大きく水準を切り下げる一方、インフレ鈍化観測を追い風にNY金は週間7.13%高と2カ月ぶりの高値圏へ急伸。金曜の米7月雇用統計は非農業部門雇用者数が2.3万人減という予想外のマイナスで、行き過ぎた利上げ観測が巻き戻されました。来週は8/12の米消費者物価指数(CPI)が最大の焦点です。

1. 先週の金融市場まとめ(8/3~8/7)

■ 主要銘柄の週間騰落

銘柄 金曜終値 週間騰落率 週間レンジ(H/L)
USD/JPY 157.745 +0.22% 158.435 / 157.167
EUR/USD 1.1562 +0.30% 1.1562 / 1.1514
EUR/JPY 182.385 +0.52% 182.592 / 180.964
GBP/JPY 212.841 +0.26% 213.174 / 211.072
AUD/JPY 111.535 +0.86% 111.535 / 110.045
GBP/USD 1.3493 +0.04% 1.3493 / 1.3430
日経平均 65,606.71 +1.93% 66,300.44 / 63,754.90
NYダウ 54,036.93 +2.96% 54,349.12 / 53,178.41
S&P500 7,757.64 +3.58% 7,757.64 / 7,600.50
ゴールド(NY金) 4,399.7 +7.13% 4,399.70 / 4,090.50
WTI原油 78.18 -7.67% 80.34 / 75.22

※週間騰落率は先週金曜NY引けに対する金曜NY引けの変化率。週間レンジは月~金の終値ベースの高安。FX・株価指数はYahoo!ファイナンス、コモディティはみんかぶ先物より取得。

■ 主要ニュース

  • 米7月雇用統計が予想外のマイナス、ドル全面安に(8/7):非農業部門雇用者数は前月比2.3万人減で、市場予想の8.0万人増に反して減少しました。過去2カ月分も大幅に下方修正され、5月は12.9万人増から6.3万人増へ、6月は5.7万人増から2.0万人増へ。平均時給も前月比+0.1%(予想+0.3%)、前年同月比+3.2%(予想+3.5%)と伸びが鈍りました。一方で失業率は4.1%と予想の4.2%を下回っています。発表直後にドル円は158.39円から156.68円まで急落。その後は買い戻しが入り、終値は157.76円と前日比67銭のドル安で週を終えました。
  • カナダ7月雇用統計が大幅上振れ、カナダドルが全面高(8/7):新規雇用者数は7.51万人増と予想の2.00万人増を大きく上回り、失業率も6.4%(予想6.5%)へ改善しました。米ドル/カナダドルは一時1.3926カナダドル、カナダドル/円は113.33円まで買われています。あわせて「カナダと米国が関税の相互削減に向けた暫定協定の締結へ集中協議を行っている」との報道も伝わりました。カナダ産品への50%追加関税は8月19日が適用期限で、協議の進展が注目されます。
  • NY金が週間7.13%高、2カ月ぶりの高値圏へ(週間):NY金は4,399.7ドルで週を終え、週間の上げ幅292ドルは1月以来の大きさとなりました。週前半は原油安によるインフレ鈍化観測が、金曜は弱い雇用統計を受けた米金利低下とドル安が買い材料になりました。利子を生まない資産である金にとって、名目金利の低下は保有コストの低下を意味します。
  • 中東の緊張緩和で原油が急落、週後半は逆回転(週間):週明けはトランプ米国大統領の対イラン攻撃中止表明でWTI原油が5.11%安、続く4日もベッセント米国財務長官らの発言による和平期待で5.69%安と、2営業日で1割超下落しました。ただ6日にはイラン海軍がホルムズ海峡の入り口付近で「敵対的な標的」を攻撃したと伝わり、7日には77.29ドル(+2.75%)へ急反発。週末は78.18ドルで、週間では7.67%安に着地しています。
  • 週明けは日米協調介入で155円台、その後は円安が再開(8/3):片山財務大臣が朝の談話で日米協調介入の実施を公表し、ドル円は午前に155.23円まで売り込まれました。5月6日以来、約3カ月ぶりの安値水準です。もっとも「警戒された追加の円買いが見られなかった」ことから週を通じては円売りが優勢となり、週間の強弱では円が8通貨中で最下位となりました。
  • ウォーシュFRB議長に利上げの用意との報道(8/6):英フィナンシャル・タイムズ紙は、今後数週間のインフレ指標が強く市場で利上げ観測が強まれば、ウォーシュ米国連邦準備制度理事会(FRB、Federal Reserve Board)議長は政策金利を引き上げる用意がある、と報じました。カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁も「待つよりも、今すぐ小幅な利上げを開始したい」と発言しています。金曜の雇用統計はこの流れに冷や水を浴びせた形で、9月会合の見方は再び振り出しに戻りました

■ 主要指標の結果

発表日 指標 前回 予想 結果
8/3(月) 米国 7月ISM製造業景況指数 53.3 53.9 55.6
8/5(水) 米国 7月ADP雇用統計(前月比) 9.5万人 6.5万人 4.4万人
8/5(水) 米国 7月ISM非製造業景況指数 54.0 54.5 54.1
8/6(木) 米国 前週分新規失業保険申請件数 19.8万件 20.5万件 19.9万件
8/6(木) 米国 4-6月期労働生産性・速報値(前期比年率) +0.8% +0.6% +1.4%
8/7(金) 米国 7月非農業部門雇用者数(前月比) 2.0万人 8.0万人 -2.3万人
8/7(金) 米国 7月失業率 4.2% 4.2% 4.1%
8/7(金) 米国 7月平均時給(前年同月比) 3.4% 3.5% 3.2%
8/7(金) カナダ 7月新規雇用者数 1.82万人 2.00万人 7.51万人
8/7(金) カナダ 7月失業率 6.5% 6.5% 6.4%

■ 週間騰落率TOP5

順位 通貨ペア 週間騰落率 金曜終値
1位 AUD/JPY +0.86% 111.535
2位 CAD/JPY +0.80% 113.192
3位 AUD/USD +0.64% 0.7071
4位 USD/CAD -0.58% 1.3936
5位 NZD/JPY +0.53% 92.994

上位は資源国通貨と円の組み合わせに偏りました。強い雇用統計を受けたカナダドルと、リスク志向の改善が追い風になった豪ドルが、いずれも対円で0.8%超の上昇。週明けの介入で円高に振れた分を、週の後半にかけて取り戻した形です。ドル円の週間+0.22%は主要14ペア中10番目の小ささにとどまりました。今週動いたのはドル円ではなく、資源国通貨と円の組み合わせだったということになります。

■ 週間強弱ランキング

1位 ++AUD   +0.75%
2位 ++CAD   +0.69%
3位 ++NZD   +0.42%
4位 ++EUR   +0.34%
5位 +CHF    +0.07%
6位 +GBP    +0.04%
7位 -USD    -0.23%
8位 --JPY   -0.48%

1位の豪ドルから8位の円まで、上位4通貨がすべて「++」で並ぶ資源国通貨の週でした。原油安は産油国通貨には逆風のはずですが、カナダドルは金曜の雇用統計と関税協議の進展期待がそれを上回っています。ドルは7位。週半ばまでは利上げ観測を支えに底堅く推移していましたが、金曜の雇用統計1本で順位を落としました。
最下位の円は、週明けの協調介入で一時155円台まで買われながら、週を通してみれば最も弱い通貨に戻っています。介入は水準を動かしても方向は変えられていない、というのが今週の結論です。

2. 今週の金融市場(8/10~8/14)

■ 経済指標カレンダー(JST・重要度★3優先)

日付 時刻 指標・イベント 重要度 前回 予想
8/10(月) 08:50 日本 6月国際収支・貿易収支 ★★ 69億円 -702億円
8/11(火) 13:30 豪州 豪州準備銀行、政策金利発表 ★★★ 4.35% 4.35%
8/11(火) 23:00 米国 7月中古住宅販売件数(年率) ★★ 409万件 405万件
8/12(水) 15:00 ドイツ 7月消費者物価指数(改定値、前年同月比) ★★ 2.8% 2.8%
8/12(水) 21:30 米国 7月消費者物価指数(前年同月比) ★★★ 3.5% 3.4%
8/12(水) 21:30 米国 7月消費者物価指数(コア、前年同月比) ★★★ 2.6% 2.5%
8/13(木) 15:00 英国 4-6月期国内総生産(速報値、前期比) ★★★ 0.6% 0.4%
8/13(木) 15:00 英国 6月月次国内総生産(前月比) ★★★ 0.1% 0.0%
8/13(木) 17:00 ノルウェー ノルウェー中銀、政策金利発表 ★★ 4.25% 4.25%
8/13(木) 21:30 米国 7月卸売物価指数(前年同月比) ★★ 5.5% 4.9%
8/13(木) 21:30 米国 前週分新規失業保険申請件数 ★★ 19.9万件 20.3万件
8/14(金) 18:00 ユーロ圏 4-6月期域内総生産(改定値、前期比) ★★★ 0.4% 0.4%
8/14(金) 21:30 米国 7月小売売上高(前月比) ★★★ 0.2% 0.2%
8/14(金) 21:30 米国 7月小売売上高(除自動車、前月比) ★★★ -0.2% 0.2%
8/14(金) 23:00 米国 8月ミシガン大学消費者態度指数・速報値 ★★ 55.2 54.1

■ 今週のテーマ

  • 米7月CPI(8/12):雇用が減速したいま、利上げ観測がつなぎ止められるかはインフレ次第です。総合は前年同月比+3.4%、コアは+2.5%と、いずれも小幅な鈍化が見込まれています。前月の総合が前月比-0.4%と大きく落ち込んだ反動で、今回は+0.1%への戻りが予想されている点にも注意が必要です。
  • 豪州準備銀行の理事会(8/11):4.35%での据え置きが見込まれています。豪州は今年すでに3回の利上げを実施しており、声明で追加利上げの含みを残すかどうかが、週間首位となった豪ドルの持続力を左右します。
  • 英国の4-6月期GDPと6月月次GDP(8/13):前期比は+0.6%から+0.4%への減速が予想されています。イングランド銀行は7月会合で3.75%を据え置いており、景気の減速度合いが9月17日の会合に向けた判断材料になります。
  • 米7月小売売上高(8/14):雇用の減速が消費に波及しているかを確認する指標です。予想は前月比+0.2%。CPIと小売が揃って弱ければ、金曜の流れが週をまたいで続く可能性があります。
  • 日米の通貨当局と日銀9月会合:8月3日の協調介入以降も、片山財務大臣は「市場との対話をこれまで以上に考えたい」と述べるにとどめています。週間で円が最弱に戻ったことで、160円台をうかがう展開になれば再び介入警戒が高まる地合いです。日銀の次回会合は9月18日で、利上げペース加速への地ならしが続くかが焦点になります。

3. ドル円とユーロドルの現在位置

■ドル円 日足分析

※日足チャートにボリンジャーバンド(21)の±2σと200SMA、RCI(9,26,52)を表示

ボラティリティが急激に変わって、違う相場になった感はさらに強まっていますね。200SMA(青)より下で引けているし、よくわからんというのが正直な感想です。

■ユーロドル 日足分析

※日足チャートにボリンジャーバンド(21)の±2σと200SMA、RCI(9,26,52)を表示

水平線をどこに引くべきかは永遠のテーマだと思いますが、僕はけっこう「昔引いた線が何度も機能する」派です。

このチャートだと1.5801(上側の水平線)は、ずいぶん前に引いたんだけど、また今回も機能したかも?という値動きになっています。

4. 気になる通貨ペア:ゴールド(XAUUSD)

長期のRCIが底張り付きから上がり出しているし、バンドウォークでボラも広がっているし、上昇トレンド始まった的な顔をしています。

5. 世界の金利動向

■ 先進国の政策金利(8/8時点・出典:外為どっとコム)

国・地域 政策金利 直近の動き 次回会合
日本 1.00% 6月に+0.25% 9月18日
米国 3.50-3.75% 据え置き(前回は2025年12月に-0.25%) 9月16日
ユーロ圏 2.40% 6月に+0.25% 9月10日
英国 3.75% 据え置き 9月17日
カナダ 2.25% 据え置き 9月2日
豪州 4.35% 5月に+0.25% 8月11日
ニュージーランド 2.50% 7月に+0.25% 9月2日
スイス 0.00% 据え置き 9月24日
ノルウェー 4.25% 5月に+0.25% 8月13日
スウェーデン 1.75% 据え置き 8月20日

■ 新興国の政策金利

国・地域 政策金利 直近の動き 次回会合
香港 4.00% 据え置き 9月17日
南アフリカ 7.00% 5月に+0.25% 9月23日
中国 3.00% 据え置き 8月20日
トルコ 37.00% 据え置き 9月10日
メキシコ 6.50% 5月に-0.25% 9月25日
ロシア 14.00% 7月に-0.25% 9月11日
ハンガリー 5.75% 7月に-0.25% 8月25日
チェコ 3.75% 6月に+0.25% 9月24日
ポーランド 3.75% 3月に-0.25% 9月9日

利上げ局面にあるのは日本銀行とニュージーランド準備銀行の2行で、豪州準備銀行・欧州中央銀行・イングランド銀行は据え置きながら次の一手は利上げ寄りとみられています。米国連邦準備制度理事会は3名が利上げを主張する構図が続いていましたが、7月の雇用統計を受けて9月会合の見方は不透明になりました。来週は8月11日の豪州準備銀行、13日のノルウェー中銀、20日のスウェーデン中銀と中国が控えています。なお欧州中央銀行の預金ファシリティ金利は2.25%で、上表の2.40%は主要リファイナンスオペ金利です。

6. FX業界ニュース

国内FX業者(金融庁登録の業者のみ)の今週の新着情報です。

  • トレイダーズ証券(みんなのFX・LIGHT FX):8月3日から「総額5,000万円山分けキャンペーン」を開始しました。期間中に1万円以上の入金(入出金差額)と10Lot以上の新規取引が対象で、入出金差額1万円ごとに1口・新規取引数量10Lotごとに1口として、少ないほうの口数が適用されます。総額は両サービス合算、1口座あたりの上限は50万円です。今回から口数の数え方が単純化され、見込み口数を事前に計算しやすくなりました。
    公式:みんなのFX 総額5,000万円山分けキャンペーンLIGHT FX 総額5,000万円山分けキャンペーン
  • 松井証券:8月3日7:00以降の取引分から、FXの建玉上限を全通貨ペア合計で3億通貨から5億通貨へ引き上げました。あわせて通貨ペアごとの建玉上限を新設し、トルコリラ/円・南アフリカランド/円・メキシコペソ/円・ハンガリーフォリント/円の新興国4ペアについては個別上限を5億通貨としています。高金利通貨を長期保有する層にとっては、積み増しの天井が実質的に外れる形です。
    公式:松井証券のニュースリリース

7. シカウチから一言

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僕もこの仕事少し関わってますが、とても面白インジケーターですよ。短期裁量トレーダー向けなので、興味ある人は申込みしてみてくださいね。

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本配信はシカウチ(雑誌『外国為替』編集長)が個人として行っています。情報提供のみが目的であり、投資助言・売買推奨ではありません。最終的な投資判断はご自身の責任で行ってください。本配信では金融庁登録の国内業者の情報のみを扱います。
配信元:シカウチ(雑誌『外国為替』編集長・個人)

ABOUT ME
シカウチ
FX雑誌「外国為替」の編集長。FX攻略.comの副編集長として11年間、取材・執筆・編集に携わったのちに独立。トレーダーとして、自動売買中心にFXの運用を行う。
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