今週(7/27~7/31)は円が主役の一週間でした。7/30のニューヨーク時間にドル円が163円台から157.98円まで5円76銭も崩れ、市場では6兆~7兆円規模の円買い介入があったとの推計が広がっています。7/31の日銀は1.00%据え置きでしたが、植田総裁は利上げペースの加速に言及。日経平均は米ハイテク決算を追い風に週末2,494円高と急反発しました。来週は8/7の米雇用統計が最大の焦点です。

1. 先週の金融市場まとめ(7/27~7/31)

■ 主要銘柄の週間騰落

銘柄 金曜終値 週間騰落率 週間レンジ(H/L)
USD/JPY 157.400 -3.90% 163.810 / 157.400
EUR/USD 1.1527 +1.35% 1.1531 / 1.1371
EUR/JPY 181.435 -2.61% 187.400 / 181.435
GBP/JPY 212.285 -2.73% 218.440 / 212.285
AUD/JPY 110.574 -3.21% 114.490 / 110.574
GBP/USD 1.3487 +1.22% 1.3487 / 1.3289
日経平均 64,362.02 -0.39% 64,931.19 / 61,434.19
NYダウ 52,485.03 +1.04% 52,747.32 / 51,594.14
S&P500 7,489.72 +1.05% 7,489.72 / 7,316.15
ゴールド(NY金) 4,107.0 -0.61% 4,160.60 / 4,097.10
WTI原油 84.67 -5.20% 84.67 / 79.26

※週間騰落率は先週金曜NY引けに対する金曜NY引けの変化率。週間レンジは月~金の終値ベースの高安。FX・株価指数はYahoo!ファイナンス、コモディティはみんかぶ先物より取得。NY金は7/30に限月がつなぎ替わったため、週間騰落率は限月調整後の連続系列で算出しています。

■ 主要ニュース

  • ドル円が5円76銭の急落、介入観測が広がる(7/30):ニューヨーク時間に高値163.74円から安値157.98円まで一気に崩れ、21日線・100日線を続けざまに割り込みました。市場関係者への取材では、政府・日銀が6兆~7兆円規模の円買い介入を実施したとの推計が出ています。財務省は31日、6月29日~7月29日の介入実績をゼロと公表しており、7月30日分の実績公表は8月28日です。
  • 日銀は1.00%据え置き、植田総裁が利上げ加速に言及(7/31):6月会合で約31年ぶりに1.00%へ利上げした影響を見極めるため、今回は据え置きとなりました。ただし成長率見通しは上方修正され、植田総裁は「金融環境が緩和的すぎると判断すれば、利上げのペースを速めることもあり得る」と踏み込んでいます。
  • FOMCは5会合連続の据え置き、3名が利上げに反対票(7/29):FF金利誘導目標は3.50-3.75%に据え置かれましたが、票は9対3。ハマック(クリーブランド連銀)、カシュカリ(ミネアポリス連銀)、ローガン(ダラス連銀)の3総裁が0.25%の利上げを主張しました。3名が同じ方向で反対したのは2016年9月以来です。ウォーシュ米連邦準備制度理事会(FRB、Federal Reserve Board)議長は会見でフォワードガイダンスを示しませんでした。
  • イングランド銀行は3.75%据え置き、票は6対3(7/30):ピル、グリーン、マンの3委員が利上げを主張して反対。ただし声明が「国内のインフレ圧力が和らいでいる明確な兆候」に言及したため、年内利上げ観測はむしろ後退しました。
  • 米GDPは下振れ、物価指数は大幅上振れ(7/30):4-6月期の実質国内総生産(GDP、Gross Domestic Product)速報値は前期比年率+1.5%と予想の+2.0%を下回りましたが、GDP価格指数は+6.2%(予想+4.0%)。成長鈍化とインフレ再加速が同時に出ました。6月の個人消費支出(PCE、Personal Consumption Expenditures)デフレーターは前年比+3.7%、コア+3.3%と予想どおりです。
  • 半導体株が急落から急反発へ(7/28~7/31):中国勢との競争激化を警戒した売りで28日の日経平均は-3.95%、韓国総合株価指数(KOSPI)は一時10%超の急落となりました。しかし31日はマイクロソフト・アマゾンの好決算と東京エレクトロンの決算を受けてフィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)が+8.19%となり、日経平均は2,494円高(+4.03%)と急反発しています。
  • 原油が週内に乱高下、月間では約20%高:米国とイランの攻撃停止表明を受けて27日のWTI原油は-7.50%、28日も-4.06%と急落。29日は米軍への攻撃が報じられて+6.56%と急騰しました。週間では-5.20%ですが、7月単月では約20%の上昇です。
  • ユーロ圏の指標が上振れ、9月利上げ観測が継続(7/30~7/31):4-6月期域内総生産(GDP)速報値は前期比+0.4%(予想+0.2%)、7月の消費者物価指数(HICP、EU基準消費者物価指数)速報値は前年比+2.9%・コア+2.5%。ユーロドルは1.15ドル台を回復しました。
  • オーストラリアのインフレが鈍化(7/29):4-6月期の消費者物価指数(CPI、Consumer Price Index)は前年同期比+4.0%(予想+4.1%)、6月の月次CPIも+3.8%(同+4.0%)と下振れ。オーストラリア準備銀行(RBA、Reserve Bank of Australia)の追加利上げ観測が後退しました。
  • 東京都区部CPIは加速、日本の指標は総じて堅調(7/31):7月の東京都区部消費者物価指数(生鮮食品除くコア)は前年比+1.9%(予想+1.8%)。6月の鉱工業生産速報値も前月比+1.3%(同+0.9%)と上振れしました。

■ 主要指標の結果

発表日 指標 前回 予想 結果
7/27(月) ドイツ7月IFO企業景況感指数 85.6 86.0 86.6
7/27(月) 米国6月耐久財受注(前月比) -4.0% +1.8% +0.3%
7/28(火) 米国7月消費者信頼感指数(コンファレンス・ボード) 92.2 92.4 90.8
7/28(火) 米国7月リッチモンド連銀製造業指数 4 6 5
7/29(水) オーストラリア4-6月期CPI(前年同期比) +4.1% +4.1% +4.0%
7/29(水) 米国FOMC政策金利 3.50-3.75% 3.50-3.75% 3.50-3.75%(9対3)
7/30(木) ユーロ圏4-6月期GDP(速報値・前期比) 0.0% +0.2% +0.4%
7/30(木) ドイツ7月CPI(速報値・前年同月比) +2.3% +2.7% +2.8%
7/30(木) 英国イングランド銀行(BOE)政策金利 3.75% 3.75% 3.75%(6対3)
7/30(木) 米国4-6月期実質GDP(速報値・前期比年率) +2.1% +2.0% +1.5%
7/30(木) 米国4-6月期GDP価格指数 +3.6% +4.0% +6.2%
7/30(木) 米国6月PCEデフレーター(前年同月比) +4.1% +3.7% +3.7%
7/30(木) 米国6月PCEコア・デフレーター(前年同月比) +3.4% +3.3% +3.3%
7/31(金) 日本7月東京都区部CPI(生鮮除くコア・前年比) +1.6% +1.8% +1.9%
7/31(金) 日本6月鉱工業生産(速報値・前月比) +0.1% +0.9% +1.3%
7/31(金) 中国7月製造業PMI 50.3 50.1 49.2
7/31(金) 日本・日銀政策金利 1.00% 1.00% 1.00%
7/31(金) ユーロ圏7月HICP(速報値・前年比) +2.8% +2.9% +2.9%
7/31(金) 米国7月シカゴ購買部協会景気指数 56.7 56.0 57.6
7/31(金) 米国7月ミシガン大学消費者信頼感指数(確報値) 54.4 54.0 55.2

■ 週間騰落率TOP5

順位 通貨ペア 週間騰落率 金曜終値
1位 USD/JPY -3.90% 157.400
2位 CAD/JPY -3.32% 112.292
3位 AUD/JPY -3.21% 110.574
4位 GBP/JPY -2.73% 212.285
5位 CHF/JPY -2.66% 194.947

週間騰落率はTOP5すべてが円買い方向という極端な結果になりました。首位のドル円は-3.90%。介入観測が出た7/30の一日だけで-2.29%動いており、週の値幅は163.94円から157.15円までの6円79銭に達しています。円クロスも軒並み2%~3%の下落で、7月にかけて積み上がった円売りポジションの巻き戻しが一気に進みました。

■ 週間強弱ランキング

1位 ++JPY   +2.99%
2位 --EUR   -0.38%
3位 --NZD   -0.53%
4位 --GBP   -0.54%
5位 --CHF   -0.70%
6位 --AUD   -1.25%
7位 --CAD   -1.36%
8位 --USD   -1.50%

週間強弱は円の一極集中でした。円が+2.99%と突出し、残る7通貨はすべてマイナス圏に沈む「円だけが強い」構図です。最下位はドルの-1.50%。FOMCで3名が利上げを主張しながらウォーシュ議長がガイダンスを示さなかったこと、そして4-6月期GDPの下振れが重しになりました。前週が「ドル独歩高(+0.74%)」だったことを考えると、わずか1週間で並びが正反対に入れ替わったことになります。

2. 今週の金融市場(8/3~8/7)

■ 経済指標カレンダー(JST・重要度★3優先)

日付 時刻 指標・イベント 重要度 前回 予想
8/3(月) 10:45 中国 RatingDog製造業PMI(7月) ★★ 51.7 52.1
8/3(月) 17:00 ユーロ圏 製造業PMI(7月・確報値) ★★ 52.0 52.0
8/3(月) 23:00 米国 ISM製造業景気指数(7月) ★★★ 53.3 54.1
8/4(火) 21:30 米国 貿易収支(6月) ★★ -776億ドル -722億ドル
8/4(火) 23:00 米国 JOLTS求人件数(6月) ★★ 759.4万人 725.0万人
8/5(水) 07:45 ニュージーランド 雇用統計(第2四半期・失業率) ★★★ 5.3% 5.4%
8/5(水) 08:30 日本 毎月勤労統計・現金給与総額(6月・前年比) ★★ +3.2% +3.4%
8/5(水) 21:15 米国 ADP雇用者数(7月) ★★★ 9.8万人 7.4万人
8/5(水) 23:00 米国 ISM非製造業景気指数(7月) ★★★ 54.0 54.4
8/6(木) 15:00 ドイツ 製造業新規受注(6月・前月比) ★★ +1.9% +0.9%
8/6(木) 18:00 ユーロ圏 小売売上高(6月・前月比) ★★ +0.2% 0.0%
8/6(木) 21:30 米国 新規失業保険申請件数 ★★ 19.7万件
8/7(金) 08:30 日本 全世帯家計調査(6月・前年比) ★★ -0.4% +1.0%
8/7(金) 15:00 ドイツ 鉱工業生産指数(6月・前月比) ★★ +0.9%
8/7(金) 21:30 米国 雇用統計(7月・非農業部門雇用者数) ★★★ 5.7万人 9.2万人
8/7(金) 21:30 米国 雇用統計(7月・失業率) ★★★ 4.2% 4.3%
8/7(金) 21:30 米国 雇用統計(7月・平均時給・前年比) ★★★ 3.5% 3.6%
8/7(金) 21:30 カナダ 雇用統計(7月・雇用者数前月比) ★★ 1.82万人 1.40万人

■ 今週のテーマ

  • 米雇用統計(8/7)が最大の焦点です。前月の非農業部門雇用者数は5.7万人まで鈍化しており、7月分の予想は9.2万人、失業率は4.3%への上昇が見込まれています。FOMCで3名が利上げを主張した直後だけに、労働市場の底堅さがそのまま追加利上げ観測に直結します。
  • 介入の「次」を測る週になります。7月30日の円買い介入は市場推計で6兆~7兆円規模。実績の公表は8月28日で、それまでは推計ベースの読み合いが続きます。当局が水準ではなく変動率を問題視する姿勢を崩していないため、戻り局面での二の矢が意識されやすい地合いです。
  • 米ISM景況感(8/3製造業・8/5非製造業)とADP雇用(8/5)が雇用統計の前哨戦です。7月に約20%上昇した原油が仕入価格指数に表れるかどうかが、インフレ再燃シナリオの試金石になります。
  • 8月相場の季節性にも注意が必要です。夏枯れで流動性が細るなか、7月にかけて積み上がった円売りの巻き戻しが続けば値が飛びやすくなります。8/11のオーストラリア準備銀行(RBA)会合と、9月に集中する主要中銀会合をにらんだポジション調整が主導しやすい月です。

3. ドル円とユーロドルの現在位置

■ドル円 日足分析

※日足チャートにボリンジャーバンド(21)の±2σと200SMA、RCI(9,26,52)を表示

天井から大底まで突き刺しましたね!またこれで今までとは違う相場になりそうです。

■ユーロドル 日足分析

※日足チャートにボリンジャーバンド(21)の±2σと200SMA、RCI(9,26,52)を表示

こちらはあまり介入の影響がありませんが、ドル売り方向へそれなりの動き。

今のところトレンドレスって見方は変わりません。

4. 気になる通貨ペア:AUDCAD

まったく無風で完全なレンジ相場継続中。リピート自動売買に向いた動きですね。

5. 世界の金利動向

■ 先進国の政策金利(8/2時点・出典:外為どっとコム)

国・地域 政策金利 直近の動き 次回会合
米国(FRB、Federal Reserve Board) 3.50~3.75% 7/29据え置き(9対3) 9/16
日本(日銀) 1.00% 7/31据え置き 9/18
欧州(ECB、European Central Bank) 2.40% 7/23据え置き 9/10
英国(BOE、Bank of England) 3.75% 7/30据え置き(6対3) 9/17
豪州(RBA、Reserve Bank of Australia) 4.35% 6/16据え置き 8/11
カナダ(BOC、Bank of Canada) 2.25% 7/15据え置き 9/2
スイス(SNB、Swiss National Bank) 0.00% 6/18据え置き 9/24
ニュージーランド(RBNZ) 2.50% 7/8に+0.25%利上げ 9/2
ノルウェー(Norges Bank) 4.25% 6/18据え置き 8/13
スウェーデン(リクスバンク) 1.75% 6/17据え置き 8/20

■ 新興国の政策金利

国・地域 政策金利 直近の動き 次回会合
中国(PBOC、人民銀行・LPR) 3.00% 7/20据え置き 8/20
メキシコ(Banxico) 6.50% 6/26据え置き 8/7(来週金曜)
南アフリカ(SARB) 7.00% 7/23据え置き 9/23
トルコ(TCMB) 37.00% 7/23据え置き 9/10
ロシア(CBR) 14.00% 7/24に-0.25%利下げ 9/11
ハンガリー(MNB) 5.75% 7/28に-0.25%利下げ 8/25
香港 4.00% 7/30据え置き 9/17

今週は7/29 FOMC・7/30 BOE・7/31 日銀と主要中銀の会合が集中し、いずれも据え置きでした。ただし中身は対照的で、FOMCは3名、BOEも3名が利上げを主張して反対票を投じています。日銀は据え置きながら成長率見通しを上方修正し、植田総裁が利上げペースの加速に言及しました。来週の主要中銀は8/7のメキシコのみで、8/11のオーストラリア準備銀行(RBA)と9月の会合ラッシュに向けて織り込みが進む週になります。

主要8通貨の金利見通しマップ

日銀とニュージーランド準備銀行(RBNZ)が利上げ局面にあり、FRB・ECB・BOE・RBAも次の一手は利上げ寄りで、世界は引き締め方向に傾いたままです。ハト派寄りはカナダのみ。今週の3会合はそろって据え置きでしたが、焦点は9月へ移ります。

6. FX業界ニュース

国内FX業者(金融庁登録の業者のみ)の今週の新着情報です。

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7. シカウチから一言

https://x.com/fx_musashi/status/2082841301461197200?s=20

このポストにあるとおり、自動売買開発仲間と頭悪そうな飲み会やって、ラーメン食べて帰ったら、為替介入来てました。

酔っ払って安易にロングして、ちょっと負けてることは内緒です…。


本配信はシカウチ(雑誌『外国為替』編集長)が個人として行っています。情報提供のみが目的であり、投資助言・売買推奨ではありません。最終的な投資判断はご自身の責任で行ってください。本配信では金融庁登録の国内業者の情報のみを扱います。
配信元:シカウチ(雑誌『外国為替』編集長・個人)

ABOUT ME
シカウチ
FX雑誌「外国為替」の編集長。FX攻略.comの副編集長として11年間、取材・執筆・編集に携わったのちに独立。トレーダーとして、自動売買中心にFXの運用を行う。
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