5月の第5週は、ニュージーランド準備銀行(RBNZ)が政策金利を2.25%で据え置きつつ声明で利上げ時期の前倒しを示唆し、NZドルが主要通貨で独歩高となった一週間でした。
週末5/29には日経平均が66,329円と史上最高値を更新(週間+4.72%)。米国とイランの停戦を60日延長する合意とAI関連株の買いが背景です。米4月PCEデフレーター(5/28発表)はコア前年比+3.3%と市場予想どおりで通過、原油は週間-9.57%と続落(米イラン和平進展+ホルムズ海峡の正常化観測)。USD/JPYは159円台半ばで横ばい引けとなり、160円の介入警戒は継続しました。
来週は6/1米ISM製造業、6/2ユーロ圏HICP(消費者物価指数、Harmonised Index of Consumer Prices)速報、6/3豪Q1実質GDP・米ISM非製造業・ADP雇用、そして6/5米雇用統計が並びます。月初の主要指標ラッシュとなる週です。

1. 先週の金融市場まとめ(5/25~5/29)

■ 主要ニュース

  • RBNZが政策金利2.25%で据え置き、利上げ時期の前倒し示唆(5/27):ニュージーランド準備銀行(RBNZ、Reserve Bank of New Zealand)は政策金利(OCR、Official Cash Rate)を2.25%で据え置いたが、声明で中東情勢に絡む燃料高でインフレ率が年内に4%を超えるとし、利上げ時期が従来見通しより前倒しになり得ると言及。タカ派色の濃い据え置きを受け、NZドルが主要通貨で独歩高となった。
  • 豪4月CPIが+4.2%へ鈍化、予想+4.4%を下回る(5/27):豪州統計局(ABS)発表の4月消費者物価指数(CPI)は前年同月比+4.2%(前回+4.6%)と鈍化。燃料の物品税引き下げ(4月1日付)が押し下げ要因。コアにあたるトリム平均は+3.4%と小幅上昇したが、豪ドルは週半ばに軟調となった(週末に挽回)。
  • 米4月PCEデフレーター、コア前年比+3.3%で予想一致(5/28):FRB(米連邦準備制度理事会)が物価判断で最重視する個人消費支出(PCE)デフレーターはヘッドライン前年比+3.8%(前回+3.5%)、コア+3.3%(前回+3.2%)と、いずれも市場予想どおりで通過。コアは2023年11月以来の高水準だが、想定内のためサプライズ反応は限定的でドルは小幅軟化した。
  • WTI原油が週間-9.57%と急落、米イラン停戦進展&ホルムズ正常化観測(5/25~5/29):イラン国営テレビが「ホルムズ海峡の商業航行を1か月以内に戦前水準へ回復させる」と表明したことなどから原油先物が大幅安。WTIは週初90.31ドルから週末87.36ドルへ低下し、心理的節目の90ドルを割り込んだ。
  • 日経平均が66,329円と史上最高値を更新(5/29):終値は前日比+2.53%(+1,636円)。米国とイランの停戦を60日延長する合意と核協議入りの報道に加え、Dell Technologiesがデータセンター需要を背景に時間外で+40%近く急騰、AI関連株が買われたことが追い風となった。日本の4月小売売上高が1年ぶりの伸び、鉱工業生産も予想外の増加となった点も支援材料。
  • NYダウが51,032ドルへ最高値更新(5/29、+0.72%):S&P500も7,580と最高値圏で堅調(週間+1.43%)。米イラン停戦延長と原油急落によるインフレ圧力の後退が買いを支えた。
  • USD/JPYは159円台半ばで横ばい引け(5/29、159.26円):週間で+0.06%とほぼ動かず。160円の政府・日銀の介入警戒水準を意識した上値の重さと、月末の輸入企業のドル需要が交錯した。
  • 米国・イランが停戦を60日延長で合意、核交渉入りへ(5/29):中東情勢の緊張緩和観測が一段と強まり、リスクオン地合いを後押し。原油安・株高・新興国通貨高の流れを生んだ。
  • NZドルが週間+2.30%(対米ドル)、AUDも+0.78%でオセアニア通貨が強い(5/29):週半ばに豪CPI鈍化で売られたAUDも、週末のリスクオンと米PCE通過後のドル軟調で挽回。NZ/AUDの両通貨そろって主要通貨に対し堅調だった。
  • NY金は週間+1.54%(4,593ドル)、ドル軟調と金利低下が支援:米PCEが想定内で利下げ期待が後退しなかったことと、ドルの週末安が押し上げ要因。

■ 主要指標(5/29 終値)

指標 終値 前週比
USD/JPY 159.26円 +0.10円(前週末159.17円比、+0.06%、160円介入警戒を意識し横ばい)
EUR/USD 1.1665 +0.0059(前週末1.1606比、+0.50%、週末のドル軟調で反発)
EUR/JPY 185.78円 +1.03円(前週末184.75円比、+0.56%、ユーロ高+円横ばい)
GBP/JPY 214.50円 +0.58円(前週末213.92円比、+0.27%、緩やかな上昇)
NZD/JPY 95.39円 +2.21円(前週末93.18円比、+2.37%(週間TOP)、RBNZタカ派据置で独歩高)
日経平均株価 66,329.50円 +2,990.43円(前週末63,339.07円比、+4.72%・史上最高値更新
NYダウ 51,032.50ドル +452.80ドル(前週末50,579.70ドル比、+0.89%・最高値更新
S&P500 7,580.10 +106.60(前週末7,473.50比、+1.43%、最高値圏で堅調)
WTI原油($/bbl、期近) 87.36ドル -9.24ドル(前週末96.60ドル比、-9.57%・米イラン和平延長で急落、90ドル割れ
金(XAU/USD) 4,593.0ドル +69.8ドル(前週末4,523.2ドル比、+1.54%、ドル軟調と金利低下で反発)

※為替・株価指数・商品はStooq(確定終値)より取得。実際の取引レートは各FX会社でご確認ください。時刻はすべてJST。

■ 週間騰落率TOP5(主要14ペア・絶対値順)

順位 通貨ペア 週間騰落率 5/29 金曜終値
1位 NZD/JPY +2.37% 95.387
2位 NZD/USD +2.30% 0.59889
3位 AUD/JPY +0.84% 114.469
4位 AUD/USD +0.78% 0.71874
5位 CHF/JPY +0.63% 204.077

RBNZのタカ派据置を受けてNZドル関連が上位を独占(NZD/JPY +2.37%・NZD/USD +2.30%)。豪ドル(AUD/JPY +0.84%・AUD/USD +0.78%)も週末のリスクオンで挽回し、オセアニア通貨が揃って堅調。CHF/JPYの上昇は、週末のスイスフラン高(USD/CHF -0.57%)の裏返しで、リスクオン下でも円が最弱だったことを示しています。

■ 週間強弱ランキング(金曜終値の対先週末比・主要14ペア平均方式)

順位 通貨 週間スコア
1位 ++NZD +2.34%
2位 ++AUD +0.81%
3位 ++CHF +0.60%
4位 ++EUR +0.45%
5位 +CAD +0.21%
6位 +GBP +0.06%
7位 –USD -0.64%
8位 –JPY -0.71%

※主要14ペア(USDストレート7本+円クロス6本+EUR/GBP)の週間騰落率を各通貨視点で符号調整・平均。マークは ++(強)/+(やや強)/-(やや弱)/–(弱)の4段階、閾値±0.25%。

++NZD +2.34%が断トツのトップで、RBNZのタカ派据置がそのまま反映されました。AUD・CHF・EURが続き、上位4通貨が++(強)に並ぶリスクオン地合い。一方、USDは-0.64%(7位)と週末にかけて軟調、円は-0.71%で最弱。リスクオン下で円キャリーが活発化した一週間でした。

2. 来週の金融市場(6/1~6/5)

■ 来週の経済指標・イベントスケジュール(JST)

日時(JST) 国・地域 指標・イベント 重要度
6/1(月)10:45 中国 5月RatingDog製造業PMI(予想51.3、前回52.2) ★★
6/1(月)17:00 ユーロ圏 5月製造業PMI(確報値、予想51.4) ★★
6/1(月)23:00 米国 5月ISM製造業景気指数(予想53.2、前回52.7) ★★★
6/2(火)18:00 ユーロ圏 5月HICP(消費者物価指数)概算速報(前年比予想+3.3%、前回+3.0%) ★★★
6/2(火)23:00 米国 4月JOLTS求人件数(予想684.8万人、前回686.6万人) ★★
6/3(水)10:30 豪州 Q1実質GDP(前期比予想+0.8%、前年比+2.6%) ★★★
6/3(水)21:15 米国 5月ADP雇用者数(予想11.2万人、前回10.9万人) ★★
6/3(水)23:00 米国 5月ISM非製造業景気指数(予想53.8、前回53.6) ★★
6/4(木)21:30 米国 新規失業保険申請件数(5/24-5/30) ★★
6/5(金)21:30 米国 5月雇用統計(NFP予想+9.5万人・前回+11.5万人、失業率予想4.3%、平均時給前月比予想+0.3%) ★★★★★
6/5(金)21:30 カナダ 5月雇用統計(雇用者数予想+1.00万人、失業率4.3%→6.9%予想) ★★

■ 来週の見通し

来週は「米雇用統計、ユーロ圏HICP、豪Q1GDP、米ISM」と月初の主要指標が集中する週です。最大の焦点は6/5(金)21:30の米5月雇用統計
非農業部門雇用者数(NFP、Nonfarm Payrolls)は前月比+9.5万人と前回+11.5万人から鈍化見込み、失業率は4.3%維持予想。米PCEがコア+3.3%とインフレ加速が確認された直後だけに、雇用が鈍化と賃金(平均時給+0.3% MoM予想)の両面で「インフレ+景気減速」のスタグフレーション色が強まるかが焦点です。
6/2(火)18:00のユーロ圏5月HICP速報は前年比予想+3.3%(前回+3.0%)と加速見込み。エネルギー価格の影響が大きく、ECB(欧州中央銀行)の追加緩和観測に水を差せばユーロ買い材料となります。
6/3(水)10:30の豪Q1実質GDPは、先週のCPI鈍化(4月+4.2%)と組み合わせて豪ドルの方向感を決める材料。前期比+0.8%予想ですが、上振れすればRBA(豪準備銀行)の追加利上げ観測が後退(5月に+0.25%利上げ済み)、下振れすれば利下げ観測が浮上します。
米ISMは1日(製造業)と3日(非製造業)に分かれ、3日はADP雇用と同時間帯のため21時台に材料が集中します。
USD/JPYの想定レンジは158.0円~160.5円がコア。
160円の介入警戒帯が引き続き上値の重しですが、米雇用統計が予想を上回ればブレイクの試金石。下方向は158円台前半のサポートが意識されます。月初の指標ラッシュでボラ拡大を覚悟したい一週間です。

3. ドル円とユーロドルの現在位置

■ドル円 日足分析

※日足チャートにボリンジャーバンド(21)の±2σと200SMA、RCI(9,36,52)を表示

ジリ上げのまま、例の価格帯に到達した感じです。もう買いづらいですね。大きく上に抜けたら買い目線に変わりますが、しばらくは介入を意識した立ち回りですね

■ユーロドル 日足分析

※日足チャートにボリンジャーバンド(21)の±2σと200SMA、RCI(9,36,52)を表示

ユーロドルは値動きの収縮が起きており、しばらくは何も起きなさそうな気配です。

4. 気になる通貨ペア:AUDNZDの日足

ずっとジリ上げが続いていたAUDNZDで、明らかに流れが変わった感がある陰線が3本出ました。

最初の方に書いた通り、豪ドルが弱く、NZが強まるファンダ的背景があるわけですが、AUDNZDの売りリピートやろうかな

5. 世界の金利動向

■ 米金利(FFレート)の現状と見通し

FRBの現行FFレート(フェデラル・ファンド・レート)は3.50~3.75%(4月29日FOMCで3会合連続据え置き、採決8対4)。
今週5/28発表の米4月PCEデフレーターはコア前年比+3.3%(前回+3.2%)、ヘッドライン+3.8%(前回+3.5%)と予想どおりに加速し、コアは2023年11月以来の高水準。ウォーシュ新議長下のFRBが警戒するインフレ再加速が数字で確認された格好で、年内利下げ観測は引き続き後退方向。次回会合は6月16-17日で、来週6/5の米雇用統計とその次の週のCPIが利下げ判断を大きく左右します。

■ 日本の金利動向

日銀の現行政策金利(無担保コール翌日物誘導目標)は0.75%(4月28日会合で6対3の賛成多数で据え置き)。
今週5/29発表の東京都区部CPIや、先週上振れた1-3月期GDP速報(前期比年率+2.1%)を踏まえ、市場は6月17-18日会合での0.25%利上げを高い確率で織り込みつつあります。日経平均が史上最高値(66,329円)を更新するなか、為替面ではUSD/JPYが160円介入警戒水準を意識しており、利上げ判断は円安抑制との合わせ技となる構図です。

■ 主要国・新興国政策金利一覧

▼ 主要先進国

国・地域 中央銀行 政策金利 直近の決定 次回会合(予定)
米国 FRB 3.75% 4月29日:据え置き(3会合連続、8対4) 6月16~17日
日本 日銀 0.75% 4月28日:据え置き(6対3) 6月17~18日
ユーロ圏 ECB 2.15% 4月30日:据え置き 6月10~11日
英国 BOE 3.75% 4月30日:据え置き 6月18日
オーストラリア RBA 4.35% 5月5日:+0.25%利上げ 6月16日
カナダ BOC(カナダ中銀) 2.25% 4月29日:据え置き 6月10日
ニュージーランド RBNZ(NZ中銀) 2.25% 5月27日:据え置き(利上げ前倒し示唆) 7月8日
スイス SNB(スイス中銀) 0.00% 3月19日:据え置き 6月18日
香港 HKMA(香港金融管理局) 4.00% 4月30日:据え置き 6月18日
中国 PBoC(中国人民銀行) 3.00% 5月20日:LPR据え置き 6月22日
ノルウェー Norges Bank 4.25% 5月7日:+0.25%利上げ 6月24日
スウェーデン Riksbank 1.75% 5月7日:据え置き 6月17日

▼ 新興国・高金利通貨

国・地域 中央銀行 政策金利 直近の決定 次回会合(予定)
トルコ TCMB(トルコ中銀) 37.00% 4月22日:据え置き 6月11日
南アフリカ SARB(南ア中銀) 6.75% 5月28日:据え置き 7月23日
メキシコ Banxico(メキシコ中銀) 6.50% 5月8日:-0.25%利下げ 6月26日
ロシア CBR(ロシア中銀) 14.50% 4月24日:-0.50%利下げ 6月19日

※政策金利は外為どっとコムの政策金利ページより取得(2026年5月31日確認)。米国は上限金利。次回会合日は予告なく変更となる場合があります。

6. FX業界ニュース

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7. シカウチから一言

札幌セミナーありがとうございました!

こんな感じで、個人としての仕事もさせていただきつつ、いろいろな街に出没できたら素晴らしい人生ですね!

 

当レポートは情報提供を目的としており、投資勧誘を目的とするものではありません。
FX取引にはリスクが伴います。取引前に各FX会社の規定・リスク説明書を必ずご確認ください。
情報ソース:Stooq、外為どっとコム、みんかぶFX、日本経済新聞、Investing.com、各中央銀行公式サイト
作成:fx-start.jp 編集長シカウチ|作成日:2026年5月31日(日)JST

ABOUT ME
シカウチ
FX雑誌「外国為替」の編集長。FX攻略.comの副編集長として11年間、取材・執筆・編集に携わったのちに独立。トレーダーとして、自動売買中心にFXの運用を行う。
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